「本当にありがたい」被災した老舗“好来ラーメン” 励まし続々

西日本新聞 熊本版 小川 祥平

弟子たちから見舞金、温かい言葉

 県南部を襲った豪雨で、熊本県人吉市中心部にある「好来(ハオライ)ラーメン」も濁流にのみ込まれた。県内外にファンを持つ老舗。同業者からの評価も高く、弟子たちを全国に送り出してきた。2代目の吉村毅さん(76)は損壊した店舗兼自宅で「裸一貫からのスタートですよ」。再起を誓ったのは、周囲の支えに応えるためでもある。

 1階店舗は、常に満席だった面影はなかった。テーブルやいすは全部処分し、壁一面にカビが生える。「まさか2階まで来るとはね」。そう言って見上げた天井付近には8時を指して止まった時計があった。

 4日午前6時すぎ、妻の麻子さん(70)から起こされた。2階から下りて外に出ると水が流れ込み始めていた。水かさが一気に増したのは1時間後。麻子さんと小学1年の孫と3人で2階に避難。水位は上がり続けて2階に到達し、畳まで浮き始めた。とっさに麻子さんと押し入れの上段に入り、孫はその上の天袋に乗せた。

 「もっと水が来たら、天井を破って屋根に登るつもりだった。本当に危なかった」。夕方にようやく水が引いた。店内を確認すると、厨房(ちゅうぼう)機器は壊滅状態。吉村さんにとって「右腕」ともいうべき製麺機もだめになっていた。

 店は1958年、父隆さんが創業した。製麺所で働いて経験を積んだ吉村さんはその2年後から店を支えた。濁流が襲ってきたのは今回が初めてではない。65年の大水害でも店舗、製麺機を失い、建物とともに刷新している。「また製麺機を買い替えないといけない。ただ中古でも500万円かかるらしくて」

 好来の特徴は大量のマー油を交ぜた豚骨、鶏がらスープ、それに合わさる自家製の中細麺にある。ほかにない独特の味から修業希望者が多く、福岡市の「博多新風」を始めとして巣立った弟子たちは神奈川、長崎などで人気店を営む。

 被災後、そんな彼らから連絡が来た。「心配してくれたり、見舞金まで頂いたり。家族みたいなもの。本当にありがたい」と吉村さん。加えて、地元の常連客は顔を合わせれば「店の今後」を必ず聞いてくる。

 「私だけなら廃業する。でも息子がいるし、修業した子たちからの温かい言葉もある。何よりお客さんが食べたがっているから」

 今は借家住まいで、解体や新築のスケジュールは見通せない。資金面の不安もある。それでも前を向き、好来の味を復活させる。 (小川祥平)

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