「新証拠」開示されるか 弁護側「事故死裏付け」 7日第2回協議

西日本新聞 社会面 中島 邦之

 鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった大崎事件の第4次再審請求で、弁護側は新たな証拠の開示を検察側に勧告するよう鹿児島地裁に要請した。いずれも、男性の死亡は確定判決が認定した「タオルによる絞殺」ではなく、自転車ごと側溝に転落した事故の影響だったことを示す状況証拠だと主張。検察側はこれまでの対応とは異なり、開示に前向きな姿勢を示す。弁護側、検察側、地裁による2回目の3者協議は7日に開かれる。

 確定判決は「タオルで首を絞めて殺害した後、堆肥に埋めた」と自白した親族3人の供述などから、殺人・死体遺棄事件として義姉の原口アヤ子さん(93)と3人を有罪とした。弁護側は再審請求後「大崎事件は殺人なき死体遺棄事件だった」と主張してきた。

 被害者男性は事件当日、自宅から約1キロの地点で自転車ごと側溝に転落する事故に遭っていた。弁護側の主張はこうだ。何者かに引き上げられ、路上に倒れていた男性を隣人IさんとTさんが軽トラックで自宅へ連れ帰った▽泥酔していると勘違いした2人は男性を荷台に乗せるなど手荒に扱った▽事故で首を損傷していた男性は自宅到着時に死亡しており、慌てた2人が牛小屋の堆肥に埋めた可能性がある-。それを裏付ける新証拠として第4次請求では埼玉医科大高度救命救急センター長の澤野誠医師の医学鑑定書を提出した。

    ◇    ◇ 

 弁護側が開示を求めた証拠は(1)路上に倒れた被害者男性を最初に発見したとされる当時21歳の男性、その父親、伯父の供述調書(2)転落現場から男性を自宅へ運んだ後の様子を、警察がIさんとTさんに再現させた写真や捜査報告書(3)転落現場の実況見分調書や損傷した自転車の写真。

 「いずれも事故による死亡を裏付ける証拠だ」と弁護側。(1)は路上に倒れた男性が瀕死(ひんし)の状態だったことを示す(2)は自宅搬送後の男性の様子について、大きく食い違うIさんとTさんの供述の信用性が低いことが視覚的に明らかになる-と説明。ともに開示済みの他の捜査記録から「存在は確かだ」とみる。(3)については「もともと存在しないことを確認することで、警察が遺体発見当初から事故死の可能性を考えず、殺人事件と断定して捜査を進めたことを示したい」という。

 大崎事件の再審請求審では、検察側は度々、弁護側が求める証拠資料について「不存在」などと説明。裁判所の開示勧告を受けて覆るケースが繰り返された。今回、最初の3者協議で検察側は「警察に一から探させるつもりだ」と回答したという。

 これまで再審開始が3度認められている大崎事件の最大の争点は今や、男性が事故死だったのか否か。弁護側が求める「古い新証拠」が確認されれば、裁判所の判断に影響を与えることも想定される。 (編集委員・中島邦之)

鹿児島県の天気予報

PR

鹿児島 アクセスランキング

PR

注目のテーマ