読んで書いて即行動!27冊の「自学ノート」がもたらした大冒険とは?

西日本新聞

 最近の教育では、「子どもの興味を尊重し伸ばす」ことがとても大切だと言われている。「好き」を追求することから生まれる探求心や思考力、広がる好奇心、継続する力が、その後の学力全般の向上や人間的成長につながるという。まさにそのことを体現しているのが本書の著者、北九州市在住で現在高校3年生の梅田明日佳くんだ。

 「自学ノート」とは、各地の小中学校で取り入れられている自主学習用のノートのことである。好きなことや興味を持ったことを中心に日々自由な勉強を行い提出する。先生からのノート返却時にはコメントが書添えられることがあり、それが楽しみだったという思い出のある人もいるだろう。著者も、最初はきっとそうだったに違いない。

 著者の自学ノートの始まりは小学校3年生の6月だ。JR小倉駅前にある小倉祇園太鼓の銅像からバチが無くなったことを伝える小さな新聞記事の切り抜きをノートに貼り、一言感想を書いたことからスタートした。二日後には実際に銅像を見に行って自分で写真を撮り感想を書く。そして銅像のその後を伝える新聞記事を追いかけた。同様に、新聞で自分の興味のある記事を見つけては自学ノートにまとめるようになった。その結果、新聞や自学ノートが好きになり、ひいては「読んで知って書く」ことが大好きになったのだ。

 以降、現在まで27冊も書き続けている自学ノートは、その後の著者の行動範囲をどんどん広げ、様々な人々との出会いをもたらす。途中これらの出来事をまとめた「ぼくのあしあと 総集編」が、北九州市が主催する「子どもノンフィクション文学賞(中学生の部)」で2017年度の大賞を受賞する。その後にNHKスペシャルの放送や本書の出版へと波及していくのだ。

 本書には、実際の自学ノートの写しが80ページ以上にわたり掲載されている。興味の広がり方や、読んだ大人の反応などが垣間見えて、とても興味深い。さらに、「ぼくのあしあと 読書編」として17年分の読書記録もある。本の感想やカッコイイと思うポイントなどを、著者が素直な文章で書いた良い読書案内となっている。

 本書は、自学ノートを続けたことで学ぶ楽しさを身に着け、さらに読んで書くことがいかに自分の中に大きな流れを作るかを知り得た、本当の意味で幸せな少年の足跡をたどった記録だ。教育関係者はもちろん、全ての親や子どもに是非参考にしてほしい一冊である。

 

出版社:小学館
書名:ぼくの「自学ノート」
著者名:梅田明日佳
定価(税込):1,650円
税別価格:1,500円
リンク先:https://www.shogakukan.co.jp/books/09388769

西日本新聞 読書案内編集部

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