泥まみれの作戦会議…天ケ瀬温泉再生へ始動 記者が歩いた被災地

西日本新聞 大分・日田玖珠版 鬼塚 淳乃介

 2度の濁流が開湯1300年と言われる温泉街を襲って1カ月。大分県日田市天瀬町の天ケ瀬温泉街には県内から多くのボランティアが入り、玖珠川沿いの小道をうずめた土砂はなくなった。でも浴衣姿で散策する宿泊客のげたの音は聞こえてこない。見通せない再開-。それでも地元の若者たちは温泉街再生へ向けた「灯」をともし始めていた。

 天ケ瀬温泉旅館組合に加盟する14軒のうち7軒が今も休業中。廃業も視野に入れる施設もあるという。

 「あっという間の1カ月だった」。ホテル「成天閣」を営む古賀信寿さん(43)の顔には疲労感がにじんでいた。片付けはほぼ終わったものの、修繕はこれから。源泉からの配管などが損傷し、自慢の風呂は依然空のままだ。「川の瀬の復元、温泉の保護…。心配は尽きない」

 それでも同組合の阿部信明組合長(60)は「多くのボランティアに背中を押された。少しずつ立ち直ってきている」と着実な前進を感じていた。

 被災から数日後、地元の若者が中心となって温泉街を復活させるプロジェクトが始動した。炊き出しや支援金の募集から、復活プラン策定にも取りかかった。保育園だった平屋に泥まみれのまま集まり、アイデアを出し合った。代表の近藤真平さん(32)は「登る山(目指す目標)が高くなっている」と目を輝かせる。若者には負けまいと阿部さんも力を込めた。「これをきっかけに温泉街は生まれ変わる。今がチャンスだ」。 (鬼塚淳乃介)

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 記録的豪雨に見舞われた先月7日から1カ月。変わり果てたふる里に言葉を失った人たちが、連日の酷暑にもかかわらず復旧に向けて汗を流している。特に被害の大きかった地域を記者が歩いた。

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