消えない世界の核に「目を背けない」広島で活動続ける25歳の誓い

西日本新聞 一面 西田 昌矢

 75回目の「原爆の日」を迎えた6日の広島市。平和記念式典終了後の平和記念公園には、多くの市民が訪れた。市民団体「核政策を知りたい広島若者有権者の会」(カクワカ広島)共同代表、田中美穂さん(25)=北九州市八幡西区出身=もその一人。「ここは、私が核兵器と向き合うきっかけをくれた場所なんですよ」。核兵器や戦争のない世界の実現へ、思いを強くした。

 昨年1月に友人とカクワカを立ち上げた。メンバー13人は大半が20代。核兵器問題について若者の関心を高めようと、広島県選出の国会議員に核廃絶の政策を問うインタビューを行ったり、各国の核兵器禁止条約の締結状況をウオッチしたりしてフェイスブックやツイッターで発信している。

 新型コロナウイルスへの感染防止策として、参列者が例年の10分の1に絞られた今年の式典。日中の最高気温が32・5度となる厳しい暑さの中、参列がかなわなかった高齢の被爆者や遺族が絶え間なく訪れ、「過ちは繰返しませぬから」と刻まれた慰霊碑に手を合わせた。

 75年間、核廃絶を願ってヒロシマとナガサキが重ねた夏。それなのに世界には、一瞬で日常を奪い去る約1万3千発の核兵器が存在する。「私たち若者が目を背けていい問題じゃない」

 西南学院大3年のとき、友人に誘われて初めて広島市の式典に参加し、市長の平和宣言を真剣に聞き入る被爆者の表情に目を奪われた。卒業後、広島市で就職。核兵器問題への関心が深まり、活動を始めた。

 被爆国の日本は核兵器禁止条約に署名していない。インタビューした国会議員8人は、実際に行動が伴っている人と、そうでない人がいた。全員が核兵器廃絶に賛同しているものの「(条約は)結論に飛びつきすぎている」「安全保障では核の傘に頼っている」。条約の署名に慎重な意見があった。

 「核兵器廃絶を口にしても温度差がある。そこを見極めたい」

 この日は会社を休んで記念公園を訪れた。フェイスブックにこう書き込んだ。

 「対話・議論を重ねることが世界を取り巻く現状を変える第一歩になる」

 (西田昌矢)

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