感染症と熱中症 正しい知識で両方防ごう

西日本新聞 オピニオン面

 今年も猛暑が続く季節となり熱中症対策の本番を迎えた。今夏は同時に、新型コロナウイルス感染への警戒を怠れない。

 感染の再拡大が続いており、その防止策が熱中症のリスクを高める恐れもある。正しい知識を踏まえ、状況に応じた適切な取り組みが欠かせない。

 熱中症は炎暑の屋外だけでなく住居でも多発している。中でも、お年寄りが気付かぬ間に発症することが多い。感染を警戒し、外出を控える人が増えそうな今夏は特に要注意だ。

 総務省消防庁によると、昨年5~9月に全国で熱中症により救急搬送されたのは7万人を超えた。その半数が65歳以上の高齢者である。

 熱中症は気温が高い環境で過ごすうちに体内の水分や塩分のバランスが崩れたり体温調節機能が働かなくなったりして起こる。目まいや立ちくらみ、筋肉のけいれん、手足のしびれなどが初期症状だ。涼しい場所に移動し、ぬれタオルなどで体を冷やし、水分を取る必要がある。

 さらに症状が重くなると頭痛や吐き気も出てくる。「自力で水分を摂取できない」「呼び掛けに対する反応がおかしい」といった症状に陥った際は、速やかに救急車を呼び、医療機関で治療を受けるべきだ。急速に重症化し、命に関わるケースもあることを忘れてはならない。

 感染症対策との兼ね合いで注意が必要なのは、マスク着用と適度な換気だ。

 日本救急医学会などが新たな熱中症予防の提言を発表した。家庭用エアコンの多くは換気機能がなく、感染症予防のためには時々窓を開けて、風通しをよくする必要がある。外気温が低い朝晩に換気時間を多く取ることも勧めている。

 マスクは身体に負担が増すとして、適宜外した上で休憩することを促している。口の中の渇きも感じにくくなるため、意識的に小まめに水分補給することも重要になる。

 マスクを常時着用している学校でも、文部科学省は熱中症が懸念される場合、距離を十分取り、換気に配慮しながら、マスクを外すことを認めている。

 乳幼児のマスク着用にも警戒が必要だ。日本小児科学会は嘔吐(おうと)による窒息や熱中症のリスクがあると警鐘を鳴らしている。特に自力でマスクの着脱が難しい2歳未満には危険性が高いという。周囲が注意したい。

 遠方で暮らす高齢の親などに電話やメールで安否を確認したい。行政はお年寄りに、無理せずにエアコンを使う、水分補給を小まめにといった基本的対策の徹底を呼び掛けてほしい。

 熱中症を上手に防ぎながら、コロナ禍の夏を乗り切りたい。

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