生ごみの虫、におい対策に 段ボールコンポストで手軽に堆肥化

西日本新聞 くらし面 川口 史帆

 夏、生ごみから出るにおいや虫は悩みの種。袋を二重にしたり、冷凍庫で凍らせたりと捨て方に腐心している人は多いはず。そんなお悩みの解決策として、生ごみを分解して堆肥に変える「コンポスト」が注目されている。気軽に始められるように機能やデザインの工夫も進んでいるようだ。種類や使い方を調べた。

 ホームセンターで尋ねると、園芸コーナーにある段ボールコンポストと生ごみ発酵機を紹介された。ごみを分解するのは微生物の働きで、「好気性」と「嫌気性」の2種類があり、コンポストはそれぞれに対応する機種がある。発酵機は嫌気性の微生物を利用する。

 コンポストは微生物が入ったおがくずなどの「基材」(25リットル)に生ごみを毎日投入し、スコップなどでよくかき混ぜる。1日に出る生ごみは4人家族で約300~500グラム。2~3カ月分を処理できる。ごみの投入を止めて約1カ月で堆肥が完成する。千円程度と安価で、においがほとんど出ないのが利点だ。酸素不足を防ぐためにざるの上などに置いて通気性を保ったり、防虫カバーを掛けたりする工夫が必要だ。

 バケツのような形状の発酵機はごみを入れるたびにEM菌(有用微生物群)の入った発酵促進剤を振りかけてふたをする。水分が底にたまるので数日おきに排水する必要がある。水分は植物の液肥としても使えるし、トイレや排水溝に流すと消臭効果も発揮する。容器がいっぱいになったら約2週間熟成し、土と混ぜて1~2カ月で堆肥になる。密閉されているので虫は湧きにくいが、独特の酸っぱいにおいがする。家庭用(18リットル)で約3千円から。

 ホームセンターには「バイオ式生ごみ処理機」といった機械もあった。高速発酵させたり、防臭したりする機能が付いて失敗しにくいが、5万~10万円以上とお高く、電気代もかかるのがやや難か。

 おしゃれや簡単さを意識した商品も登場している。「ローカルフードサイクリング」(福岡市)は布バッグ製コンポスト「LFCコンポスト」(2980円)を販売。初心者でも気軽に始められるよう無料相談を受け付けている。開発者の平由以子さん(53)は「臭い、難しいといったイメージを持たれがちだが、楽しく快適なものとして若者にも広めたい」と話す。

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 福岡県大野城市の御笠の森小では4年生が6月から、8~9人一組で家庭の生ごみを持ち寄り、段ボールコンポストに挑戦している。7月末、子どもたちの取り組みを取材した。

 開始から1カ月半がたったコンポストは生ごみが原型をほぼとどめず、黒っぽく変化していた。一部には玉ネギの皮などが乾燥して残っていた。

 講師を務めるNPO法人「循環生活研究所」(福岡市)の永田由利子理事長(56)によると、生ごみは分解しやすいものと、そうでないものがある。コメや果物は数日で分解されるが、玉ネギの皮や動物の骨は分解しにくく1年以上かかることもある。長く分解しないものは「燃えるごみ」として出してもいい。スイカの皮など硬いものは小さく切ると分解が早まる。腐ったものは悪臭の原因になるので投入を避ける。からからに乾燥したものも発酵を妨げるので、水や米のとぎ汁などを加えてしっとりさせるといいそうだ。

 一時は小バエが湧いたコンポストもあったが、防虫ネットをしっかりかぶせると次第にいなくなったという。虫が湧いても、発酵の熱でやがて死滅するのだ。それでも虫が増えて気になる場合は基材をポリ袋に入れて天日干しするといい。

 コンポストでできた堆肥は栄養豊富。資源ごみとして回収する自治体もあるが、家庭菜園などで使えば野菜や花が元気に育つ。4年1組の今泉仁さん(9)は「ごみが土になって、おいしい野菜になるって本当かな。微生物ってすごい」と目を輝かせた。子どもたちは完成した堆肥を使い、校庭でホウレンソウを育てて食べる計画だという。

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 記者も布製バッグのLFCコンポストを自宅で始めた。生ごみ100グラム程度を毎日入れ、よく混ぜる。数日間は変化なかったが、1週間後、表面に白カビが現れた。バッグを抱えるとほんのり温かい。発酵が進んでいる証拠だ。2週間すると、1週目に入れたものの多くが土のようになった。

 顔を近づけて嗅ぐと生臭さはなく、落ち葉のようなにおい。一方、生ごみがなくなった家庭用ごみ袋はいつもの臭気がせず、汁が垂れる心配もない。小バエも姿を消した。生ごみの悩みのない生活は実に快適だ。今後も使い続けたい。 (川口史帆)

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