「娘の安否すら知らされず」離婚後の面会交流、コロナ禍が影 オンラインは課題も

 新型コロナウイルスの感染拡大が、離婚などで別居している親子の交流にも影を落としている。収束時期が見通せない中、会えない状態が続く親子も少なくない。「オンライン面会交流」という試みも始まっているが、トラブルも懸念される。専門家は「ルール整備が必要だ」と指摘する。

 「とにかく元気な顔が見られてホッとした」。千葉県に住む男性(43)は6月中旬、同じ県内に住む娘(2)と10カ月ぶりにパソコンの画面越しで対面した。

 昨年7月、毎月の面会交流と養育費の支払いを条件に離婚した。だが約束通り面会できたのは翌8月だけで、以後は元妻が拒否。面会を求めて家裁に調停を申し立て、ようやく3月に面会が決まったところでコロナ禍に見舞われ、元妻に「感染が怖い」と言われて中止に。娘の安否すら知らされず、このまま顔を忘れられるのではと不安だった。

 弁護士を通じてオンラインの交流を提案し、実現にこぎ着けた。ようやく面会できた娘に男性は好きだった絵本を読み、一緒に遊んでいる時の動画を見せた。だが幼いため会話が続かず、30分程度で娘が画面の外に退出して終了に。「抱っこすることも、なでてあげることもできず、つらい」

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 全国の別居親がつくる「共同親権草の根活動」が5月中旬に実施したアンケートによると、回答した198人のうち84%がコロナ流行後に面会交流の状況が悪化したと回答した。

 法務省は5月、「面会交流は子供の健やかな成長のために重要だ」として直接の対面が難しい場合はビデオ通話や電話、メールなどを活用するよう求める見解を示した。

 面会交流を支援する「びじっと・離婚と子ども問題支援センター」(横浜市)では3~5月の従来型の面会支援件数が例年の1割に減り、6月以降も8割にとどまった。そこでオンラインの交流支援を5月に始め、これまで21組が利用した。

 割れないシャボン玉を作ったり、動画を見て一緒にダンスしたり、自作のクイズを出したり…。利用者からは「毎回父親が工夫してくれて、新しい一面を発見できた」「今後も検討したい」といった声が上がっているという。

 古市理奈代表理事は「親子の縁を切らないことが何より重要。コロナ収束後も、遠距離で頻繁に会えない場合の補完手段などに活用できる」と話す。

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 課題もある。幼い子どもの場合は集中力が続かず、機器の操作のため同居する親が介入せざるを得ない。面会交流の条件は調停や公正証書などで決めるが、オンラインは想定外だ。「直接会わない口実にされるかも」「毎日ビデオ通話したがるのでは」と親が互いに警戒し、調整がうまくいかないケースも多いという。

 面会交流の支援に詳しい立命館大の二宮周平教授(家族法)は「離婚後に父母の協力関係が築けないという問題がコロナ禍で顕在化した」と指摘。「子どもは父母に養育される権利があり、交流を中断させてはならない」と強調する。

 米国などではオンライン交流の指針が定められているという。二宮さんは「コロナの流行がいつまで続くか分からない中、日本でもルール作りが急務だ」と話している。

 (新西ましほ)

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