一時孤立解消も「避難者戻ってくるのか」記者の耳に残る被災地の不安

西日本新聞 大分・日田玖珠版 中山 雄介

 福岡県に隣接する大分県日田市中津江村。市中心部から約30キロ、車なら1時間近くかかる。7月7、8日を中心とした豪雨で村内各地では土砂崩れが多発し、市中心部へと続く細くくねった市道や国道が寸断された。停電も発生し、村全域に電気が通ったのは11日だった。一時孤立した村ではなお心配の声が聞かれた。

 村の中でも被害の大きかった栃原集落(32世帯92人)。被災直後の同8日には、山の斜面が崩落して大量の土砂が道路を埋め、民家に迫っていた。2日に再び訪ねると、ほとんどの土砂は取り除かれ、崩落防止のための土のうが数十メートルにわたって並べられていた。国道442号は通行止めのままで、不自由な暮らしが続いていた。

 「どげなふうかい」

 自治会長の津江良治さん(73)は同日、市報を配りながら、避難所から戻ってきた住民に声を掛けて回った。「片付けが大変そうだったけど、家に戻ってこられて、みんなほっとしているよ」と津江さん。

 同6日夜、1歳の長男が猛烈な雨音を怖がり、家族3人が一畳半ほどのクローゼットで寝たという鷹野恵祐さん(29)も「これから台風が心配だが、雨になれたのか、子どもは怖がらなくなり一安心」と話した。

 静かな山間部で、家族同然に暮らしてきた中津江の人たち。セミの鳴き声を重機の音がかき消す中、津江さんの言葉が気になった。「施設や集落から出て家族の所に避難した村民が、果たして戻ってくるのか」。 (中山雄介)

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