迅速対応で感染拡大を阻止

西日本新聞 筑豊版 丸田 みずほ

感染拡大阻止「病院からの報告」(下)

 -一本松すずかけ病院で感染が確認された後の対応は。

 「7月6日夕、保健所から電話があり、男性職員の感染が伝えられた。『ついに来たか』と思ったが、正直、患者から感染者が出ることを想定していた。保健所からは翌日昼までに接触者をリストアップするよう言われ、看護部長をはじめ、5人の看護師は夜中まで特定作業を行った」

 「精神科病棟のため、病棟にはカメラを設置し、ドアには鍵を掛けている。そのカメラで男性の行動を確認し、ドアノブでの接触も考慮した結果、県保健所の主導の下、患者や職員など計58人をPCR検査することになった」

 -結果は全員陰性。院内感染しなかった。

 「検査は当院の医師と看護師計4人がペアを組み、2グループで同時進行。8日午前には全て終了した。検査を担当する職員や実施場所、ゾーニングの徹底をあらかじめマニュアルで決めており、迅速に動けたことで感染拡大を防止できたと考えている。そもそも誰もが行き来できるわけではない閉鎖病棟という特性もある」

 -精神科病棟の入院患者への配慮は。

 「経過観察期間の2週間、外出制限した。散歩や買い物にも行けず、ストレスがたまって不満が大きくなり、看護師だけでは対応できなくなったため、私が『申し訳ない。でも感染拡大するようなことはあってはならないからどうか理解してほしい』と一人一人に説明して回った。みなさん最後は納得してくださった」

 -その後の対策は。

 「外来患者には電話診察を求め、現在も3分の2が電話で診察をしている。病棟からの転院、退院などはしばらく見合わせた。職員には再発防止策として文書を配布した。バーやカラオケは控えてもらいたいという内容。ただ、こればかりは『お願い』でしかない。医療従事者としての自覚を持って行動してほしいと伝えた」

 「あとは誰でも感染することを前提に、職員も患者も手洗いや『3密』を避けるといった基本的な予防策を徹底するしかない」

 -風評被害があった。

 家族の職場や幼稚園などから出勤、登園拒否があったと連絡を受けたのが29件。病院への心ない電話なども合わせると計46件あった。『PCR検査を受けてから出勤してほしい』『病院なのに感染者を出すのはどうなのか』など。特に公表から2日間が多く、急きょ回答集を作り、対応した。

 -今後の診療への思いは。

 「外来患者に電話診察の案内のため連絡した際、『先生は大丈夫ですか』と逆に心配してくれる人もいた。長年、この地で培った精神科病院の役割の大きさを感じている。一方、新規の受診、入院患者は減っている状況。対策は試行錯誤が続く。今後も信用第一で、信頼回復に努めたい」

 (聞き手は丸田みずほ)

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