住み慣れた家、いつ戻れるのか 記者が歩いた大分・日田の被災地

西日本新聞 大分・日田玖珠版 鬼塚 淳乃介

「前を向くしかない」 

 筑後川水系の三隈川に近い大分県日田市北友田。住民は静かな流れに安らぎを感じ、例年ならこの時期、川面を伝う風がうだる暑さを和らげてくれる。しかし今年は牙をむいた。7月7日、川は氾濫し、住宅やこども園、商業施設が浸水した。今、堤防沿いには土のうがいくつも連なっている。

 鋭角に三隈川が曲がり、花月川と二串川も注ぎ込む地点に近い北友田3丁目市営住宅。ここでは8棟が浸水し、17世帯が被災した。

 近くに仮住まいする藤塚美穂さん(39)は「三隈川とは反対からも水が押し寄せパニックになった」と振り返る。自宅前の道は胸の高さまで水位が上昇。買ったばかりのガスこんろや洗濯機、車が動かなくなった。半壊と思っていた自宅の損傷は、市の判定では「床上浸水」。予想を超える負担になりそうだが、「私たちより大変な目に遭っている人がたくさんいる。前を向くしかないかな」と自らを奮い立たせていた。

 市営住宅には、早ければ9月下旬にも再入居できる見込み。藤塚さんは「不安だが、家族の思い入れがある」。他の住人も「長年住み慣れた家。移るつもりはない」。市営住宅のほとんどの住民が戻ることを決めている。

 ただ、北友田で生まれ育った男性(64)は過去に何度か水害を経験した。今月から自宅のリフォーム工事に取りかかるが、「来年の梅雨時期が怖い。今度水が出たらここを離れるかも」とぽつり。「水があふれない堤防を早く整備してほしい」と訴えていた。

(鬼塚淳乃介)

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