阿蘇に列車が帰ってきた 豊肥線が全線再開、沿線沸く

西日本新聞 熊本版 佐藤 倫之

 熊本地震から4年4カ月ぶりに全線再開したJR豊肥線(熊本-大分)の熊本県内各駅では8日、沿線住民から喜びの声が上がった。ただ、新型コロナウイルスの感染再拡大が続く中での再出発となり、複雑な表情ものぞいた。

 復旧区間にある立野駅(南阿蘇村)では午前10時前、熊本発大分・別府行きの観光特急列車「あそぼーい!」の到着を、地元保育園児らが旗を振って出迎えた。

 列車に村職員が乗り込み、特産品セットを乗客に配布。その一つ、紅白まんじゅうは同駅前にある老舗「ニコニコ饅頭(まんじゅう)」の4代目高瀬大輔さん(48)が村の依頼を受け用意。早朝から両親らと準備に追われた。

 店は地震で被災。復旧したガスと自衛隊の給水でまんじゅうを蒸し、消防団員らに差し入れたのが再開の「第1号」。この日は「私たちにとっても新たな一歩」と感慨深げだった。

 工事中の同駅は第三セクターの南阿蘇鉄道(立野-高森、17・7キロ)との接続駅だが、同鉄道の10・5キロは不通が続き、全線再開見込みは2023年夏だ。

 上下列車の往来が戻った阿蘇駅の片山英憲駅長(65)の思いもひとしお。9年前に着任し、翌12年の九州北部豪雨で被災。線路復旧まで約1年を要した記憶を胸に、2度目の全線再開を同駅で迎えた。

 「熊本方面に通学する高校生や、病院に通うお年寄りも喜んでくれているでしょう。そんな日常がやっと戻ってきた」

 一方、阿蘇市内牧の温泉街でホテル(約100室)を経営する阿蘇温泉観光旅館協同組合理事長の稲吉淳一さん(51)は「待ちに待ったこの日を、こんな状況で迎えるとは」。

 東京五輪開催もにらみ、地震で寸断された交通動脈が相次ぎ復旧する本年度を、観光復興に向けた「阿蘇開きの年」と捉えていたが、コロナ禍で一変した。

 経営するホテルは例年、8月は家族旅行やスポーツ合宿でほぼ満杯だが、営業を本格再開した7月以降も「客室稼働率は例年の約4分の1」。各地で感染者が増えるたびに予約キャンセルが入り、助成金や制度融資で何とか持ちこたえているという。

 それでも、稲吉さんは「マスクを外し、大自然の中で深呼吸。そんな阿蘇ならではの観光の魅力を発信していきたい」と巻き返しを誓った。

(佐藤倫之)

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