「あまりに遅すぎる」進まぬ核軍縮非難 長崎原爆75年平和宣言

西日本新聞 岡部 由佳里

 国会議員にも条約実現要請

 長崎に原爆が投下されて75年を迎えた9日、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が長崎市松山町の平和公園で開かれた。田上富久市長は平和宣言で、3年前に国連で採択され、開発や使用を全面的に禁じる核兵器禁止条約が発効しない現状を「核軍縮があまりにも遅すぎる」と非難。唯一の戦争被爆国として、政府のほか国会議員にも一日も早い条約の署名と批准の実現を求め、核保有国の指導者には来年開かれる予定の核拡散防止条約(NPT)の再検討会議で、実効性のある核軍縮を進めるよう訴えた。

 田上市長は、核兵器を巡る現状について、被爆75年を経ても「本当の恐ろしさは世界に伝わっていない」と強調。猛威を振るう新型コロナウイルスが身近な場所に広がるまで、その怖さに気付かなかったことを例に、「核兵器が使われてしまうまで、人類がその脅威に気付かなかったとしたら、取り返しのつかないことになる」と警告した。

 今年がNPT発効50年の節目である一方、昨年8月には米ロ間の中距離核戦力(INF)廃棄条約が失効するなど核軍縮を巡る国際的な取り組みは停滞し、使いやすい小型兵器の開発や配備が進んでいると指摘。「核兵器が使用される脅威が現実のものとなっている」と警鐘を鳴らした。

 また、新型コロナと闘う医療関係者に拍手を送る活動を紹介した上で、平和を訴え警告を発し続けてきた被爆者への拍手を参列者に促し、「このわずか10秒ほどの行為でも平和の輪が広がる」と述べた。若い世代には、コロナ禍に人類が直面するのと同じく、核兵器の問題にも当事者でなければならないと呼び掛けた。

 「平和への誓い」では、被爆者代表の長崎市の深堀繁美さん(89)が「長崎を最後の被爆地に、との思いを訴え続けていく」と決意を述べた。

 安倍晋三首相はあいさつで「『核兵器のない世界』の実現に向けた国際社会の努力を一歩一歩、着実に前に進めていく」と強調したが、昨年同様、核兵器禁止条約への言及はなかった。

 今年はコロナ禍の影響で、会場の座席数を例年の1割の500席に制限。被爆者と遺族、核保有国を含む68カ国の大使らが参列し、原爆投下時刻の午前11時2分に黙とうをささげた。

 この1年で死亡を確認した3406人の死没者名簿4冊が納められ、奉安者は18万5982人になった。

 厚生労働省によると、全国の被爆者健康手帳の所持者は13万6682人(3月末現在)で、昨年の同時期から9162人減。平均年齢は83・31歳となった。(岡部由佳里)

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