原爆できょうだい4人失い…「限られた時間しかない」89歳の危機感

西日本新聞 社会面 徳増 瑛子

 きょうだい4人が長崎原爆の犠牲となった深堀繁美さん(89)=長崎市=は平和祈念式典の被爆者代表として、「平和への誓い」を静かながらも力強い口調で読み上げた。昨年、長崎で核廃絶を唱えたローマ教皇らの言葉を引用して戦争のない世を訴えつつ、高齢化が進む被爆者の体験を継承するには「限られた時間しかない」と危機感をにじませた。

 深堀さんは14歳の時、爆心地から3・4キロの三菱重工長崎造船所で勤労学生として勤務中に被爆した。翌日、爆心地近くの実家を目指す途中、街には電車や白骨が転がり、川には真っ黒になった人たちが折り重なっていた。「水、水…」という声も聞いた。

 浦上天主堂の裏手にあった実家は爆風で壊れ、姉2人と弟、妹を失った。しかし、それまで多くの遺体を見たためか「不思議と涙も出ません。今思えば普通の精神状態じゃなかった」。街には亡くなった人を焼くにおいがしばらく立ちこめていた。けがもしていなかった人が周囲で次々に亡くなり、次は自分か、という恐怖も付きまとった。

 カトリック信者の深堀さんは、今も浦上天主堂で被爆体験講話を続ける。誓いでは、39年前に来日した教皇ヨハネ・パウロ2世の言葉「戦争は人間のしわざ」と、昨年11月に長崎を訪れた教皇フランシスコの「核兵器はなくさなければならない」との呼び掛けを紹介し、こう求めた。「呼び掛けに呼応し、若い人たちには平和のバトンをしっかり受け取り、走り続けてほしい」 (徳増瑛子)

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