苦しい経営、心が折れそうに…客足止まる飲食店 支えは常連

西日本新聞 筑豊版 坂本 公司 吉川 文敬

 福岡県筑豊地区で7月以降、新型コロナウイルスの感染者が増え、各地の飲食店が苦境に陥っている。政府の緊急事態宣言の解除後、戻りかけていた客足が再び減った。飯塚市と田川市で取材した。

 飯塚市中心部の繁華街でスナックを長年営む60代のママは、これまでにない客の少なさに戸惑う。特に市内の飲食店に勤める30代女性の感染が分かった7月2日以降は1日平均3~4組で、全てが1人か2人での来店だった。

 市ホームページによると今月6日現在で延べ41人の市在住者が感染。36人は7月以降の判明だった。

 このスナック店でもアルコール消毒液を置き、営業中は店のドアを常に開けて換気するなど対策を取る。だが今月に入ると市職員に対する懇親会「厳禁」の通知や、県民に対する「1次会のみ」の要請が出て、厳しい状況に追い打ちがかかった。週末の夜は2人の従業員と一緒に店に出ていたが、人件費抑制のため、今は1人だけのことも多い。

 一方で支えになるのが常連客の存在。毎日1人で足を運んではキープボトルを飲む人もいる。ビルオーナーは一時家賃を割り引いてくれた。「約40年やっている仕事。私の生活そのものだから店を続けたい」と力を込めた。

 厳しい状況が続く繁華街で、「飯塚の売りである、店同士の仲の良さを続けたい」と強調したのは、それぞれ別の居酒屋を営む60代女性と40代女性。2人は客を他の店と紹介し合ったり、なじみの店を訪れたりしている。経営が苦しく心が折れそうになる日々だが、そんな習慣を守りたいという。

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 7月10日に初の感染者が確認されて以来、8月6日現在で7人の陽性が判明した田川市。同市中央町の居酒屋「花野の香」のオーナー山本敬子さん(39)は「6月にやっと少しお客が戻ったと思ったら、7月に市内でもコロナが出て客足はまたぱったり止まった」と肩を落とす。3~5月の売り上げは前年比7割減。テークアウトの唐揚げに特化した同市伊田の2号店が7月のオープン以降好評で「何とか日銭を稼いで持っている状況」だという。

 居酒屋は6組分のスペースと約30人収容の宴会場があるが、一度に入れるグループを2組までとし、宴会場使用は中止した。スタッフの手洗いや店内消毒の徹底も続けるが客足は遠のいたまま。

 年末まで客足が戻らなければ、事業の縮小も考えざるを得ない。山本さんは客が店を訪れやすく、飲食店も営業しやすい環境づくりのため、市がもっと前面に出てほしいと願う。「酒の提供は何時までとか、営業は何時までとか、田川の統一的な基準を市に作ってほしい」と訴えた。 (坂本公司、吉川文敬)

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