PCR検査、抗原検査、抗体検査…どれで何がわかる? 望ましいあり方は

 新型コロナウイルスへの感染が拡大する中、当初から行われている「PCR検査」に加え、「抗原検査」「抗体検査」もよく耳にするようになってきた。導入するクリニックが増えてきているが、検査の目的やかかる時間、費用はさまざまだ。専門家らは「検査の目的を誤解している人もいる。正しく理解して自分に合ったものを選んでほしい」と呼び掛ける。

 7月下旬、福岡県に住む女性の娘(14)が吐き気や倦怠(けんたい)感を訴えた。熱は37・6度。翌朝、かかりつけの内科に電話すると「一応コロナの検査しましょうか」。駐車場に着くと、防護服姿の看護師が娘を連れて診療所とは別の棟に。数分後、「めっちゃ痛かった~」と娘が鼻を押さえて戻ってきた。PCR検査かと思いきや、看護師に「これは抗原検査。30分で結果が分かりますよ」と言われた。

 結果は陰性。だが駐車場に出てきた院長から「PCRほど精度は良くないけどね」と説明を受け、また不安になった。翌日、娘の熱が下がり、元気になってやっと胸をなで下ろした。

 「簡単に検査を受けられるようになって良かったけど、種類がいろいろあってよく分からない。結果をどこまで信用していいのかな…」。払ったお金(3割負担)は他の検査料、初診料も含め約6千円だった。

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 3検査の大きな違いは、PCR検査と抗原検査が「今、感染しているか」を調べるのに対し、抗体検査は「過去に感染したことがあるか」を調べることだ。

 国内で感染が広がり始めた当初はPCR検査のみ。検査機器と慣れた検査技師が必要な上、数時間かかるため1日の検査数に限りがあり、第1波では受けられないまま重症化する人が相次いだ。PCR検査を補完するものとして、厚生労働省は5月中旬、約30分で結果が判明する抗原定性検査のキットを薬事承認。発熱などの症状があれば保険が利き、導入するクリニックも出ている。女性の娘が使ったのはこのタイプだ。

 抗原定性検査は、検体内にウイルスが少なければ陰性となる恐れがある。このため、ウイルス量が少なくても専用機器を使って検出できる抗原定量検査も6月に承認された。

 一方、抗体検査は、ウイルスが体内に入った際の免疫反応で作られるタンパク質(抗体)が血液中にあるかどうかで、過去の感染歴を見極める。ただ、目安となるIgG抗体は感染から2~3週間たたないとできないため、検査の1週間前に感染していても「陰性」となる。ウイルスを排出している時期なのに、本人がほっとして出歩けば感染を広げかねない。

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 3検査とも受けられる福岡市中央区の「とみた内科クリニック」には、こうしたことを理解せず、抗体検査で今の感染の有無が分かると誤解した問い合わせがよくあるという。「地方に出張する前に抗体検査をして」「実家に帰省するか迷っているので抗体検査を」といったものだ。

 一般の診療は午前、新型コロナの検査は午後に行う。さらに検査する人の入り口や部屋を別に設けたり、ドライブスルー方式にしたりして感染対策を徹底。新規感染者数の高止まりが続く中、「同僚が感染した。心配なので受けたい」と自費診療でPCR検査を求めるケースが急増し、3検査で計50件を超す日もあるという。

 富田直史院長(49)は「感染拡大のスピードに、正しい情報と理解が追い付いていない。検査ができるのもまだ一部の医療機関だけで、熊本や長崎から訪れる人もいる。普段の状態をよく知っているかかりつけ医で受けられるようになるのが一番だ」と話している。

 (下崎千加)

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