AVは幻想。現実ではない【しもじもの話】

西日本新聞 くらし面

 マスターベーション(自慰)は、自分一人でペニスやクリトリスなどを刺激し、性的に興奮して満足感を得ることです。

 「パートナーがいない若者が寂しく行う行為」というイメージがあるかもしれません。けれども、日本性科学会の2012年調査によると、パートナーがいる男性を見ても40代の67%、50代の64%、60代の44%、70代の28%が月1回以上行っているそうです。いくつになっても、みんなこっそりやっていますので「この年になって、俺って変?」との心配はご無用です。

 自慰を行うときは、それぞれ好みの材料を利用して興奮を高める人は多いです。ただアダルトビデオ(AV)には注意が必要です。「AVはファンタジーであり、見て楽しむエンターテインメントなのでセックスの教科書にはなりません。勘違いしないで」と俳優たちも呼び掛けていますが、診察室には「AV女優のように反応しないのはおかしいと言われた」「無理な体勢や変わった状況を強要される」といった相談が持ち込まれます。演出と現実の区別ができず、そこから得た情報を自らの男女関係に当てはめて女性を困らせている男性がいます。

 特にその内容が痴漢、のぞき、強姦(ごうかん)、子どもを性の対象にしているものであれば、かなり心配です。性暴力を空想しながら自慰を繰り返すと、考え方にゆがみを生じることがあります。「暴力的な性行為は彼女も喜ぶはずだ」「暴力的な性行為をしてもたいした問題ではない」などの誤った考えが、実際の性暴力につながる恐れもあります。

 先日も入浴中の女性の盗撮を繰り返して審判中の男性が、再犯抑止を目的に相談に訪れました。悪びれる様子もなく「そっち系(のぞき、盗撮の動画)が好きなんで」って。こうならないように「AVはファンタジー」と理解することが大切です。

 いくつになっても自慰で性欲をコントロール。気分が良いときに、愛情のこもった空想をしながら、自分一人で行いましょう。イライラ解消目的や、暴力的な空想、子どもに対する空想で自慰をするのは間違いです。やめてください。

 (泌尿器科医・池田稔)

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