「何とかなる」女将気丈に 記者が歩いた被災地由布市・湯平

西日本新聞 大分・日田玖珠版 稲田 二郎

 撤去進む巨石、旅館は再開

 山あいにある湯平温泉(大分県由布市)を流れる花合野(かごの)川の水は澄んでいる。川の瀬は透明で、少し深い淵ならばエメラルドグリーン。水は冷たく、地域の人々はこの美しい川を愛してきた。

 その花合野川は1カ月前、茶色い濁流であふれかえり、川沿いにある旅館の基礎部分は削られた。今も無残な様子はそのまま。川には豪雨で流されてきた巨石が、流れをせき止めるかのように腰を据える。

 だが、温泉街は少しずつ前に進んでいる。伝統の石畳にたまっていた土砂は洗い流された。川の巨石のいくつかは撤去のために砕かれ、つぶてとなって川岸に積み上げられている。えぐられた護岸には大量の土のう。そして、20軒ある旅館には温泉が通り、16軒が営業を再開。7日夜には、約1カ月ぶりに名物の赤い提灯(ちょうちん)もともった。

 「避暑地だから8月が書き入れ時。例年、お盆時期はどこも満室だが、今年は芳しくない」と湯平温泉観光協会の麻生幸次会長(51)。水害のダメージのほか、温泉地への道路も規制中。新型コロナウイルスの影響ある。

 およそ800年前に開かれ、江戸時代から湯治場として栄えた湯平。何代も温泉宿をやってきた家は多い。ある女将(おかみ)は「これまでも苦難を乗り越えてきたし、何とかなる。落ち込んでも仕方がないから」。“おもてなし”で培った明るい振る舞いが、地域を元気づけていく。 (稲田二郎)

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