7月0▶今月既に4個 台風次々 高気圧張り出し位置に変化

西日本新聞 社会面 鶴 善行

 気象庁の観測史上初めて7月の「発生ゼロ」を記録した台風だが、8月に入り発生状況が一変している。10日までに、既に4個が発生。同日、九州に接近した台風5号は全域を風速15メートル以上の強風域で覆った。専門家によると、台風が発生する海域の海面水温上昇や気圧配置が影響しているという。「8月以降は、台風が相次ぎ発生する可能性がある。風雨や高潮といった災害リスクへの備えが必要だ」と呼び掛けている。

 気象庁によると、1981~2010年の台風の発生数は年平均25・6個。今年は7月まで観測史上2番目に少ない2個だった。7月まで極端に少なかった要因について、東京大の中村尚教授(気候力学)は季節風のモンスーンと太平洋高気圧の配置を挙げる。

 7月までは台風が発生するフィリピン近海に吹き込むモンスーンが弱く、台風と同じ反時計回りの渦が生み出されにくかった。加えて、太平洋高気圧が例年以上にフィリピン近海に張り出したことから周辺で下降気流が発生し、台風ができにくい気象条件となっていた。

 8月になり、フィリピン近海への太平洋高気圧は既に解消し、日本列島に向けて張り出しを強めている。日本の南海上は強い日射により海面水温が上昇。台風のエネルギー源となる水蒸気量も豊富で周辺では上昇気流が発生、台風ができる条件が整った。梅雨期から台風シーズンへと警戒のステージが変わったといえる。

 7月の記録的豪雨で九州では熊本県南部を中心に、各地で被害が相次いだ。中村教授は「台風の進路によっては風や高潮、大雨の恐れがある。豪雨で既に地盤が緩んだ地域では土砂災害の危険性も高く、台風接近時は避難など早めの対応が求められる」と話している。

(鶴善行)

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