「筑豊一代」の原画展示 作兵衛が描いた紙芝居 田川市美術館

西日本新聞 筑豊版 吉川 文敬

 筑豊地方の炭坑絵師、山本作兵衛(1892~1984)が描いた紙芝居「筑豊一代」の原画20点を展示する特別展が、福岡県田川市の市美術館で開かれている。30日には隣接する市立図書館で紙芝居の上演もある。9月22日まで。

 作兵衛が描いた紙芝居は今年、飯塚市で見つかった。炭鉱での労働や暮らしを描いた記録画などが「世界の記憶」(世界記憶遺産)に登録されている作兵衛だが、紙芝居の存在はほとんど知られていなかった。

 紙芝居「筑豊一代」は、作家王塚跣(せん)の同名小説を基に描かれた。元炭鉱労働者で牧師でもあった服部団次郎氏(故人)が1970年ごろ、日本の近代化を支えたにもかかわらず、石油へのエネルギー革命後に顧みられなくなった炭鉱労働者の自尊心を取り戻すことなどを目的に「炭鉱犠牲者 復権の塔」(宮若市)の建設を発案。資金を集めるため、小説の紙芝居化を着想した。20枚の絵の制作を作兵衛に依頼し、作兵衛は快諾したという。

 5日、関係者3人が、市美術館を訪ねた。紙芝居は70年代、炭鉱集落や失業対策事務所に通う人たちに披露された。服部氏の長男清志氏(故人)と共に活動した大西広幸さん(70)=川崎町=によると、元炭鉱労働者ら、のべ約1万人から数百万円が寄せられたという。「日雇いの肉体労働が日給数百円だった時代。その中から100円、200円と寄付してくれた」と大西さん。メンバーの1人だった鶴尾計介さん(72)=宮若市=によると、塔の建設費2500万円には到底届かなかった。鶴尾さんは「団次郎先生は土地などを売ったが、それでも足りなかった」と話す。使用者だった企業側と労働者の「連帯」を夢見た団次郎は、企業側にも寄付を打診したが、断られたという。そんな時、宮田町(現・宮若市)が救いの手を差し伸べ、82年、復権の塔は無事完成する。

 次男の信和さん(69)=飯塚市=は「父が推敲を重ねた文や作兵衛さんの絵から、何かを感じてほしい」と「筑豊一代」の上演を今も続けており、30日には市立図書館で信和さんによる上演会がある。午前11時と午後1時半の2回。いずれも電話での申し込みが必要。先着順で各25人。大人100円、高大生50円、小中学生30円。市美術館=0947(42)6161。

(吉川文敬)

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