「世界は一つになれる」 213カ国・地域の着物完成 発案者の高倉さん

西日本新聞 筑後版 野津原 広中

平和の願い形に

 東京五輪・パラリンピックまでに、世界213カ国・地域の文化や自然、歴史を表現する着物と帯の制作を目指してきた「キモノプロジェクト」。開会式で各国・地域の着物姿の女性が手をつないで一つの輪になることを夢見た東京五輪は1年延期され、実現性は見通せない。そんな中、最後の213組目を飾る日本の着物と帯がこのほど完成し、プロジェクトは一つの区切りを迎えた。

 2014年にプロジェクトを発案した福岡県久留米市の呉服店「蝶屋(ちょうや)」社長の高倉慶応さん(52)は、全ての着物と帯の完成を受けて「ここまで長かった」と感慨深げ。「世界はきっと一つになれる」と平和のメッセージを発信する企画について「やってきたことは間違っていなかったと思う」と笑顔を見せた。

 新型コロナウイルス感染の収束は見通せない。「世界的にコロナ禍が落ち着けば、213人の女性に着物を着てもらうシーンを設けたい」とショーの開催も念頭に置く。まずは、今年10月に京都市で着物と帯の展覧会の開催を目指す。

 制作には江戸小紋、西陣織、琉球紅型(びんがた)など全国の一流技術者が協力。人間国宝や伝統工芸士も含め、携わった個人作家や工房は着物が150、帯が50に上る。

 制作費は1組200万円で、総事業費は約4億3千万円。個人や団体、企業の寄付で賄ってきた。高倉さんは「寄付してくださった方の人数は、合計すると数千になるだろう。感謝してもしきれない」と頭を下げる。引き続き、事業の運営費やスポンサー未定の国への出資者を募っている。

 最初に完成した作品は南アフリカだった。京友禅の着物には高山地帯に咲く花をあしらった。

 キリバスの着物は久留米絣(かすり)。7月18日に亡くなった重要無形文化財久留米絣技術保持者会長の松枝哲哉さん=久留米市田主丸町竹野=が、妻の小夜子さんと作った。太平洋の島国の空と海、太陽を表現した。

 最後の日本の着物は京友禅で、縁起が良いとされる柄の束熨斗(たばねのし)を採用した。

 プロジェクトを進める一般社団法人イマジンワンワールド(東京)は、全213組の着物と帯の紹介動画(約15分)を、公式ホームページで公開している。

(野津原広中)

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