73歳“メダカ博士”命の授業 子どもたちに伝えたいこと

西日本新聞 北九州版 白波 宏野

「小さな生き物も人も同じ」

 メダカの生態を通じて長年、子どもたちに命の大切さを訴えている人がいる。通称「メダカ博士」の妙見博士(みょうけんひろし)さん(73)=北九州市八幡西区。毎年、メダカの卵が孵化(ふか)する4~6月に合わせ、北九州市の小学校で出前授業を開いてきた。今年は新型コロナウイルスの影響で軒並み中止になっていたが、時季外れの8月、ようやく1校で授業が実現した。

 「メダカは、カメレオンと同じように体の色を変えるんです」。4日、大原小(八幡西区)で行われた5年生17人への授業で、妙見さんは子どもたちに語りかけた。メダカの飼育方法、オスとメスの見分け方などのわかりやすい説明に児童は聞き入った。

 授業のメインは、妙見さんが持参した卵の観察。顕微鏡をのぞく児童が、孵化する瞬間を目にすることもある。卵がかすかに動くのを見た酒井遥さん(10)は「卵に心臓みたいなものがあって、動いていたのでびっくりした」と驚いた様子だった。

 出前授業は2013年に開始。毎年、子どもたちが孵化する瞬間に立ち会えるよう授業にはメダカの卵を持ってきた。ただ、今年は新型コロナで授業は中止や延期に。メダカ100匹を飼う妙見さん宅でも全て孵化したため、北九州市内の愛好家に呼び掛けて卵を30個ほどかき集めた。

 妙見さんは60歳で企業を定年退職後、友人から2匹のメダカを譲り受けたのをきっかけにのめり込んだ。小さな生物の生命力に勇気づけられる一方、絶滅危惧種で年々個体数が減少していることにショックを受け、7年前に小学校で授業を始めた。

 授業には自然や命の大切さを盛り込むよう心がけている。「メダカも人も同じで、小さな命の連鎖が綿々と続いている。子どもたちには生きることのすばらしさを知ってほしい」。10年を一つの目標に、76歳までは「メダカ博士」を続けるつもりだ。 (白波宏野)

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