あふれる才能、HKT豊永阿紀は新劇場のカギ握る「5ツールプレーヤー」

西日本新聞 古川 泰裕

歌う意味の重さ、葛藤を抱え

 歌詞をかみしめるように握りしめた拳を少しずつ開き、前に伸ばした。7月12日、HKT48の配信限定「THE LIVE」第2弾。4期生豊永阿紀(20)の歌声は、情感に満ちたビブラートを伴って視聴者の心を震わせた。

 福岡市内にあるレッスン場。この日のライブは、九州を襲った豪雨の犠牲者を悼む1分間の黙とうで始まった。そして、流れ始めたメロディーは「掌(てのひら)が語ること」。東日本大震災の復興支援をきっかけに生まれたAKBグループの名曲だ。

 上野遥と熊沢世莉奈に挟まれ、センターで歌う豊永。だが、関係者によると、この曲をこのタイミングで歌うという意味の重さから、葛藤を抱えていたという。

 新型コロナウイルスの影響で、ボランティアさえ被災地に入ることが制限された状況。九州を代表するグループの一員として「何もできていない」との無力感や歯がゆさが歌うことをちゅうちょさせた。だが、テレビなどから流れる歌に励まされてきた自身の姿を視聴者に置き換え、思いを固めたという。「自分の歌が誰かの力になるなら」

7月4日の配信限定ライブで「波音のオルゴール」を歌った豊永阿紀。左は上野遥、右は熊沢世莉奈©Mercury

父譲りの「ニコンF3」が愛機

 活動5年目に入った豊永。猫を思わせるような、はっきりとした目鼻立ちは笑うとくしゃくしゃになり、愛嬌(あいきょう)の良さがにじみ出る。HKT加入前に出演していたオーディション番組で厳しい指導を受けたこともあり、ダンスや演技など、あらゆる分野で高いパフォーマンスを見せる。思いを伝える歌唱力はグループでも屈指ではないだろうか。

 その非凡さは、ステージだけにとどまらない。父譲りの「ニコンF3」を愛機とするカメラ女子。サッカー・J2アビスパ福岡の公式アンバサダーが既に3季目を迎えたように、幅広い分野に関心を持ち、メンバーでただ一人公式ブログを持つ文才の持ち主でもある。歌、ダンス、演技、カメラ、発信力…。大リーガー級の「5ツールプレーヤー」が豊永阿紀だ。

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