「昼カラ」客席間に仕切り、マイクカバー 高齢者の生きがい守る

西日本新聞 社会面 野間 あり葉 山下 航 岩谷 瞬

 北九州市で、昼間にカラオケを楽しめる飲食店が関連する新型コロナウイルスの感染者が増加している。7月下旬以降、市内の3店舗でクラスター(感染者集団)が発生したとみられ、高齢の利用客を中心に感染者は20人を超えた。昼カラオケの感染リスクはかねて指摘されているが、高齢者の居場所となっている面もあり、「唯一の生きがい」と言う人も少なくない。有識者は店で感染症対策を徹底する必要性を指摘する。

 8月上旬の平日の昼下がり、同市内の「カラオケ喫茶」では10人ほどの男女がビールや紅茶を飲み、お立ち台に上ってカラオケを楽しんでいた。30年近く、店に通う女性客(77)は「コロナは怖いけど、ここで歌って、みんなとしゃべるのが生きがい」。

 店は席の間やお立ち台の前に透明な仕切り板を置き、布製のマイクカバーを使うなど対策を徹底。感染者は出ていない。男性店主(55)は「客は1人暮らしの高齢者が多く、店が社交場になっている」と話す。

 ただ市内の別の「昼カラオケ」店を訪ねると、カウンターに男性客5人がずらりと並び、マスクをせずに歌う姿も見られた。

 市によると、昼カラオケ関連の感染者は13日現在で50~90代の男女計24人。詳細な感染経路は不明だが、3店舗のうち複数の店を利用した人がおり、他の客らに広がった可能性がある。

 昼カラオケに絡む感染は6月に北海道で相次ぎ、千葉県や石川県でもクラスターが発生。北九州市立八幡病院の伊藤重彦院長によると、カラオケは歌う人のしぶきが、聞いている側の鼻や口に入りやすく、会話よりリスクが高いという。伊藤院長は「全員がマスクを着用し、2~3メートル離れる。1曲ごとの換気、しぶきが飛んだテーブルやいすの消毒が必要だ」と指摘する。

 一般社団法人全国カラオケ事業者協会(東京)など3団体は5月、入室人数の制限や2メートルを目安に座席間隔を空けることなどを盛り込んだガイドラインを示し、北九州市もこれに沿った対応を飲食店に求めている。同協会は「昼カラオケ自体が危険ではない。カラオケをしないことで健康を害する人が増える懸念もある」としてガイドラインの順守を呼び掛けている。 (野間あり葉、山下航、岩谷瞬)

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