顔より大きい火山岩? 阿蘇の恵みぎっしり「カルデラハンバーグ」

西日本新聞 くらし面 川口 史帆

 顔より大きい火山岩? 一見ごつごつして硬そうだが、箸ですっと切れ、かむと甘い肉汁が染み出す。「あか牛の館」(熊本県南阿蘇村)の「あか牛カルデラハンバーグ」だ。

 カルデラはスペイン語で「鍋」の意。阿蘇カルデラは、9万年前の大噴火で生まれた阿蘇山のくぼ地だ。南北25キロ、東西18キロの大鍋には澄んだ水が湧き、南阿蘇村を含む約4万人が自然とともに生きる。「大きくて、阿蘇の恵みぎっしり。この土地にイメージを重ねて名付けた」と社長の藤原健志さん(63)は語る。

 南阿蘇は、茶色い毛が特徴の和牛「あか牛」の一大産地だ。子牛は母牛と一緒に広大な草原で育つ。放牧は草木の繁茂を防ぎ、景観の維持にも不可欠だ。野草を食べ、よく歩いた牛は胃腸や足腰が健康に育ち、柔らかくあっさりした肉質になる。良質な脂身は、さらさらしていて「脂っこ過ぎず、たくさん食べられる」と藤原さんは胸を張る。

 熊本地震から4年が過ぎた。国道や鉄道の寸断は続き、復興は道半ば。明るい話題として「みんなで食べてほしい」と、2月に考案したのが巨大ハンバーグだ。1~3ポンドの「カルデラ」3種類と、同時に開発した通常サイズを含め、8月からネット販売している。

 あか牛のおいしさを際立たせるため、他の原料は玉ネギ、牛乳、ワインなどシンプルに。赤身と脂身の配合を工夫し、うまみとジューシーさを両立させた。

 しかし一転、コロナ禍に見舞われた。大勢で肉をつつく光景は消え、売り上げも6割減。追い打ちをかけるように7月、豪雨が県南部を襲った。自社の先行きも不安な中、南阿蘇の水20リットル入りを50ケース、2トントラックに積み、人吉市の被災地へ届けた。

 「雨も雪も受け入れて、支え合って分け合う。うまい肉も、そうやって作られてきたけんね」。人、牛、自然が補い合い、つないできた景色をこれからも。 (川口史帆)

 ▼あか牛カルデラハンバーグ 道の駅「あそ望の郷くぎの」(熊本県南阿蘇村)敷地内にある専門店「あか牛の館」の新商品。1ポンド(450グラム)2160円、2ポンド(900グラム)3980円、3ポンド(1350グラム)5980円。通常サイズ150グラムは660円。冷凍で全国配送する(送料別)。注文はウェブサイトから。同店=0967(67)0848。

PR

くらし アクセスランキング

PR

注目のテーマ