禎子の絵本世界へ希望 被爆12年の生涯66カ国に

西日本新聞 西田 昌矢

 広島で被爆し、12歳で亡くなるまで鶴を折り続けた佐々木禎子さんを題材にした絵本「おりづるの旅」(PHP研究所)を、広島市のNPO法人「ANT-Hiroshima」が翻訳し、世界中の国に送り続けている。これまで32の言語に翻訳し、66カ国以上の子どもたちに届けた。

 禎子さんは2歳のころ、爆心地から1・6キロの自宅で被爆した。絵本は前半で白血病を発症しながらも「鶴を千羽折れば病気が治る」と聞いて折り続けた禎子さんの短い人生を描く。後半は禎子さんの慰霊のため、同級生が広島の平和記念公園に「原爆の子の像」を建てたことを紹介する。

 活動は2003年、法人理事長の渡部朋子さん(66)がアフガニスタンの少女を平和公園に案内したのがきっかけ。原爆の子の像を説明するために絵本を紹介すると「国に帰って子どもたちに読み聞かせたい」と相談された。

 翻訳には大学生や非政府組織(NGO)、市内でカレー店を営むスリランカ人らが協力。出版社の許可を得て日本語の文の上に翻訳した言語のシールを貼り、インドネシア・スマトラ島沖地震やパキスタン地震などの被災地に贈った。長崎市の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館にも寄贈。同館が海外3カ国で主催した原爆展でも展示された。

 禎子さんの話は、原爆の悲惨さを伝える話として日本で語り継がれているが、紛争や災害に見舞われた国では懸命に生きた姿に励まされる子が多いという。「これからも世界中で希望を与え続けてほしい」と渡部さんは願っている。

(西田昌矢)

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