白血病で亡くなったサーファー 「活動続ける」仲間の思い

西日本新聞 ふくおか都市圏版 下村 佳史

 自然豊かな福岡県糸島市を心から愛し、移住してきたサーファーが40歳の若さで白血病のため亡くなった。「波乗りを楽しませてもらった海へのお礼に」と、4年前にビーチクリーンに取り組む団体に入り毎月1回の海岸清掃をしてきた。仲間たちは7月下旬、サーファーが愛した海辺をきれいにした後、黙とうをささげた。

 仲間たち「活動続ける」

 サーファーは糸島市大門の石川聡さん。会社の転勤で2012年に愛知県から福岡市に転居。趣味のサーフィンで、糸島市の海岸に通ううち、風光明媚(めいび)な風景に魅せられ、2年前に妻の沙緒理さん(40)と長女の楓華ちゃん(5)とともに憧れていた同市への永住を決め、引っ越した。

 石川さんがビーチクリーンに加わったのは、同市の野北海岸でサーフィンをしていたとき、清掃活動をしていた「アロハ・スタイル・クリーン・ジャパン(ASCJ)」のメンバーを見かけてからだ。漂着ごみを拾い集めていた松尾誠三代表(40)に「海が大好きだから、きれいにしたいんです。一緒に手伝わせてください」と声を掛けた。

 穏やかな性格で、場を和ませるタイプ。初めての参加者がいても、石川さんが優しい笑顔で話しかけると、すぐに打ち解けた。その石川さんが昨年10月、海岸に姿を見せなくなった。4年半前に治療し、いったん病状が治まっていた白血病が再発したのだ。

 石川さんは闘病を続けたが、今年6月に意識がなくなった。沙緒理さんが石川さんの耳元にスマートフォンを当て、流れてくる動画投稿サイトの波の音を聞きながら、石川さんは静かに息を引き取った。

 石川さんの仲間たちは7月26日、野北海岸で追悼の集いを開いた。沙緒理さんや楓華ちゃん、石川さんの知人も加わり、約20人がいつものように清掃した後、砂浜に線香を立て、海に向かって手を合わせ、石川さんをしのんだ。

 松尾さんは「体調が悪いときでも、つらい表情を見せず通ってきてくれた。『自然を大切にしながら生きたい』と、心から願う人だった。活動をいつまでも続け、みんなで石川さんを思い続けていきたい」と悼んだ。

 楓華ちゃんは「海がとてもきれい」と、父親の愛した海を遠く見つめた。沙緒理さんは「もっと、もっと海に来て、楽しんでいたかったのだと思います。でも、みなさんと一緒に活動ができ、すてきな生き方をしたと思います」。家族や仲間たちが黙とうを終えたとき、爽やかな風が海から浜辺へと吹き抜けていった。 (下村佳史)

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