「昔と違う」 データが裏付け 野津原昭二氏

西日本新聞 オピニオン面

◆暑すぎる夏

 九州をはじめとする多くの地域に甚大な被害を与えた長い梅雨が終わり、今年も暑い日々が続いている。「災害級の暑さ」となったことで記憶に新しい2018年夏のように、近年の夏は昔に比べて暑くなっていると多くの人が感じているかもしれない。実際にはどうなのだろうか。

 130年近い観測値を蓄積している気象庁のデータによると、福岡の夏(6~8月)の期間を平均した気温は、年々の変動はあるものの長期的には100年間で1・96度上昇している。1・96度というと大したことがないと感じるかもしれないが、平年の夏の気温(現在は1981年から2010年の気温の平均値)と、「災害級の暑さ」の18年夏の気温(27・5度)の差が1・4度だったことを考えると、小さな値ではないことがわかる。さらに、最高気温が35度以上となる猛暑日の年間日数も10年あたり1・1日の割合で増加し、最低気温が25度以上となる熱帯夜にいたっては10年あたり4・7日の割合で増加している。同様の傾向は、九州各県の観測地点においてもみられ、昔に比べて夏が暑くなっているというのは感覚だけでなく、データからも裏付けられている。

 気温の上昇傾向は、地球規模ですべての季節で観測されている。原因としては福岡のような大都市であればヒートアイランド現象といわれる都市化の影響もあるが、二酸化炭素などの人為起源の温室効果ガス排出量増加による地球温暖化の影響も大きいと考えられている。温室効果ガスの排出が現状のままであれば、20世紀末に平均4・6日だった福岡の猛暑日の年間日数が、今世紀末には50日を超えるというシミュレーションの結果もある。温室効果ガスの排出削減に世界中で取り組んでいるが、順調に削減出来た場合でも温暖化の進行はしばらく続くと考えられている。

 このため地球温暖化などの気候変動が既に生じ、今後も起こりうるという前提に立って、その影響による被害を回避・軽減する適応策が必要となってくる。これまで以上に熱中症に注意するというのも身近にできる立派な適応策だ。加えて今年は新型コロナウイルスの影響でマスク着用の機会が多くなっている。自分や身の回りの人を守るために日々の気温の予報などをこまめに入手して熱中症予防に取り組み、これまでと違う夏を乗り切っていただきたい。

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 野津原 昭二(のつはら・しょうじ)福岡管区気象台 地球温暖化情報官 福岡県朝倉市出身。気象庁での季節予報業務、台風予報業務などを経て、2020年4月より現職。

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