世代超え広がる「反体制」の声 タイ・バンコクで最大規模集会

西日本新聞 国際面 川合 秀紀

 【バンコク川合秀紀】タイ・バンコクで16日、約3万人(主催者発表)が参加する反政府集会が開かれた。2014年の軍事クーデター以降では最大規模。約8時間に及んだ集会には従来の若者だけでなく、中高年層も詰めかけ「反体制」の声が世代を超えて広がりつつあることを示した。

 人の波がどこまで続いているか見えなかった。1932年に絶対王政から立憲君主制に変わった民主化の象徴、民主記念塔前。集会開始約2時間後の午後5時には、塔の周囲と片側6車線の道路が数百メートル先まで人で埋まった。インターネットに接続しにくくなった。

 特設ステージに近い最前列に高校2年の女子生徒3人組が座っていた。キンさん(17)に、王室の権限や予算配分に批判が出ていることを尋ねると「私も民主主義にのっとった王室に変えるべきだと思う」。不敬罪があるため無理に答えなくていいと断ったが「怖いけど、表現の自由がない今のままの方が怖い」。

 7月下旬から続く集会は大学生ら複数の若者グループが連動して企画。会員制交流サイト(SNS)を使って賛同が広がっている。この日も登壇者は若者中心で、政治風刺のラップや演劇も。家電設置サポートの会社を営むタムさん(63)は、かつてクーデターで政権を追われたタクシン元首相を支援した「赤シャツ」派。繁華街でデモを繰り返したが王室批判には至らなかった。「今の若者は、赤シャツのように誰かが操る動員じゃなく、みんな自分の頭で考え知的に闘っている」。そして「私たちも純粋に応援に加わり始めた。勢いはもっと強くなる」。

 活動家たちが登壇し、元軍トップのプラユット首相退陣や軍政色が強い憲法の改正、表現の自由を主張。夜10時すぎ、最後のゲストとして、先の演説で異例の王室批判を公言したアノン弁護士が現れると、ひときわ大きな歓声が起きた。「演説以降、王室について話すなと言われるが、怖くない。今後も語り続ける」。扇動容疑などで逮捕され保釈中だが、トーンは変わらなかった。

 11時ごろ、集会は終了。警官約600人が配置されたが混乱はないまま。集会後、逮捕が取り沙汰される活動家らが自ら警察署に出向く場面も。結局逮捕されず、この日は反体制側の“攻勢”が目立った。

 会場近くでは、集会開始前後に王党派約100人も集会を開いていた。運転手ノックさん(49)は「王室は良いことをしてきた。改革? 必要ない」。最後に「反政府集会で王室批判があったら録画して警察に届ける」と力説した。だが数十分後の午後3時半、妻をバイクの後ろに乗せ「もう家に帰るよ」と去った。

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