まちの玄関「雄姿ふたたび」 直方駅旧駅舎、復元を機に企画展

西日本新聞 筑豊版 安部 裕視

 福岡県直方市石炭記念館でJR直方駅旧駅舎の「車寄せ」をテーマにした企画展が開かれている。題して「雄姿ふたたび」。旧駅舎の解体から約10年を経て、市が今年6月、保管していた部材を利用し、駅前に復元した。まちの玄関でもあった建物の「雄姿」を表す絵や写真、駅周辺の古図など約80点の展示品から、石炭で繁栄した駅とまちの歴史がうかがえる。9月6日まで。

 車寄せは1910(明治43)年に移転新築された2代目駅舎の玄関。切り妻造りの屋根、エンタシスと呼ばれる古代ギリシャ建築様式の柱を持つ。2011年に3代目への改築に伴って駅舎ごと解体され、柱などが110年前の新築当時の濃緑色を施されて復元。「直方駅前公園」に立つ。

 企画展では、1891(明治24)年に筑豊興業鉄道若松-直方間の開業に伴って建てられた初代駅舎、石炭輸送量の増加やまちの発展に伴う駅の移転の経緯、国有化後に築かれた2代目駅舎についての説明書きと併せ、写真や古地図などで駅とまちの歴史を示す。

 1世紀を生きた「雄姿」は、地元の作家らの創作意欲をかき立てた。直方市の切り絵作家、松本佳代さん(48)は作品5点を出展。「友だちとの待ち合わせや部活の試合に行くときの集合場所が車寄せ。柱の虫食いの穴をよく触っていた。柱の色は肌色に近い白だったと記憶している」と懐かしむ。

 「直方駅を彩った人々」のコーナーでは、ゆかりのある作家らを紹介。鉄道や沿線の風景を描写し、旅情を表した松本清張は「火の記憶」で「N駅から帰りの汽車に乗った。すでに窓外は真っ黒な夜となっていて、炭坑町の灯が流れていった」などと書く。文中の「N」が直方とされる。

 八尋孝司館長は「出迎えてくれたり、送り出してくれたりと、車寄せは思い出深い。復元後のこれからどう活用していくかを考えていくことも大切だ」と話す。来館者に活用法のアイデアを募るアンケートを実施している。午前9時~午後5時で、入館料は一般100円ほか。毎週月曜日休館。同館=0949(25)2243。 (安部裕視)

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