孫や昆虫との日々、温かく 元自衛隊陸将が故郷思うエッセー出版 

西日本新聞 社会面 塩入 雄一郎

 自衛官を退官後、作家に転身した元陸将がいる。陸上自衛隊西部方面総監部(熊本市)の元幕僚長、福山隆さん(73)=東京都在住。安全保障分野の専門書15冊を著してきたが、このほど初のエッセー「閣下と孫の『生き物すごいぞ!』」を出版した。故郷の長崎県・宇久島で過ごした少年時代の思い出と、昆虫を通した孫とのふれ合いを温かい筆致でつづっている。

 福山さんは防衛大卒業後、1970年に陸自に入隊。95年の地下鉄サリン事件で連隊長としてサリン除去の総指揮を執ったほか、情報本部の部長を務め、外務省にも出向するなど情報畑を中心に歩んだ。2005年に陸将で退官した後は、安全保障の専門家として執筆や講演の活動を続けてきた。

 今回、出版したエッセーの故郷のパートは、福山さんが40年前に書きためていた文章を再構成したもの。「陸自の訓練のつらさを紛らわそうと、故郷の情景を文章にした。書くことで勇気をもらった」。加えて、孫と一緒に都内でチョウやカブトムシなどの昆虫を探した際の軽妙なやりとりも再現している。

 既に続編として、長崎の聖地巡礼の旅を主題にしたエッセーにも着手した。キリスト教信者でもあり、宗教や人生観を掘り下げる小説などにも幅を広げていきたいという。「本を書いて宇久島に恩返ししたい。純文学にも挑戦し、若いころの夢だった芥川賞をいつか取りたい」と福山さん。

 出版はワニ・プラス。四六判208ページ、1540円(税込み)。同社=03(5449)2171。 (塩入雄一郎)

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