コロナのストレス抱え込む子どもたち 大人の緊張状態が伝わり萎縮

西日本新聞 くらし面 本田 彩子

 今年2月に本格化した新型コロナウイルスの感染拡大は子どもたちの暮らしも大きく揺さぶっている。最大3カ月に及ぶ休校から学校再開、そして短い夏休み。いつもと違う日常に戸惑いや不安を抱える子どもも少なくない。コロナ禍の子どものストレスに大人はどう向き合えあえばいいか。NPO法人「九州大学こころとそだちの相談室」の金子周平専務理事(臨床心理学)に聞いた。 (聞き手は本田彩子)

 子どもにとって今、何が一番ストレスか。 

 一見、以前と変わらないように見えて気づきにくいが、さまざまなストレスの要因がある。一つは大人の態度だ。感染予防のため大人が常に緊張状態にある。

 学校で友だちに近づきすぎると先生から離れるように言われる。家で友だちと遊ぶのも、親はマスクの着用の有無やお互いの家に上がることを気にする。

 「マスクをしていない子とは遊ばない方がいいのかもしれない」「友だちの家に行ってはいけないのかもしれない」-。直接言われなくても大人の緊張感は子どもに伝わり、のびのびと過ごせない。

 大人も苦しい。子どものためにどう判断すべきか分からず、迷いがあるので一貫した態度を示せない。この状況もまた、大人に守られているという子どもの安心感を失わせ、ストレスへとつながる。

 ストレスはどのような形で現れるか。 

 コロナに限らず子どものストレスは「非言語」の形で現れる。多いのは頭痛や腹痛といった体の痛みだ。本人は本当に痛いと感じているがそれは時に主観的な体験で、自分に注目してほしい、関わってほしいという欲求から現れる。表情や姿勢、行動に現れることもある。部屋を片付けない、朝起きられない、歩くのが遅くなる、今までできていたことができなくなるなどだ。大人は「甘えている」と感じてしまい、サインだと捉えにくいケースもある。

 SOSに気づいたらどうしたらいいか。 

 一つのやり方ではなく、さまざまなやり方、接し方を試してほしい。子どもがだらだらしていたら、最初は「いつまでにやりなさい」とぐっと背中を押してみる。できない状況が続くなら「疲れてる?」「気になることある?」と聞いてみる。時には「ゆっくりでいいよ」と言う。押したり引いたり。何が正解なのかは結局、後にしか分からないことが多い。一つのやり方を貫いてうまくいかないと、大人も追い詰められてしまう。

 子どもに限らず大人にも言えることだが、旅行や夏の帰省などコロナ禍で今はできずに諦めていることを「しょうがない」のひと言で済ませないでほしい。何かをしたいという気持ちは完全に抑え込まずに、表に出す。そしてそれに代わる方法を考える。そうやって新しい生活に適応していくことが大切だ。

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 NPO法人「九州大学こころとそだちの相談室」 九州大卒の専門家有志が2006年、福岡市早良区西新に設立。臨床心理士計36人のスタッフが交代でカウンセリング業務を行い、不登校や発達など子どもの悩みのほか、職場の人間関係や夫婦関係など大人の問題も含めて年間延べ約1400件の相談を受けている。カウンセリング業務のほか、子どもに居場所を提供するフリースペース事業や家庭学習支援も行っている。

 相談は月~土曜日の午前10時~午後6時半。初回面接は6000円。事前予約が必要。同相談室=092(832)1345。

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