福智山讃歌継承へ歌碑 建立計画具体化 誕生20年「誇れる歌末永く」

西日本新聞 筑豊版 安部 裕視

 序章の「山よ 山よ 福智の山よ」で始まり、全8章からなる合唱組曲「福智山讃歌」の歌碑建立を目指し、福岡県直方市の市民グループが動きだした。直方文化連盟(文連)が詞と曲を市民から公募し、2000年に誕生した「ふるさとの歌」。“二十歳”を迎え、「讃歌を未来に残し、市民に歌い継いでもらいたい」との思いを歌碑に込める。

 讃歌は福智山にまつわる歴史や自然、祭りなどを歌う。直方市で生まれ育ち、長く地元の金融機関に勤めた上野山剛さん(81)が全章を作詞。作曲を独学で習得し、「まちの作曲家」として知られる宮若市の夏秋(なつあき)充さん(77)が作曲した。

 上野山さんは「福智山に遠賀川。緑の山と豊かな水がふるさとを潤し、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る祭りが伝わる。まちの古老ら仕事で多くの人と重ねた対話が詞につながった。多くの人に讃歌に関心を持ってほしい」と呼び掛ける。

 「水」と題する4章で、上野山さんは「かたや源流 馬見山(うまみやま) こなた産声 英彦山」と書きだし、遠賀川をつづった。福智山を眺望し、遠賀川が流れる地域全体を讃歌の「ご当地」と考えている。これまで各地で歌われ、親しまれてきた。

 田川市で16年秋、プロとアマチュアが集う筑豊フィルハーモニー管弦楽団(筑フィル)が第3回定期演奏会を開き、地元の約130人が合唱団を編成して熱唱。直方市でも17年春、文連などが主催した合唱祭で約120人が筑フィルの演奏で歌い上げた。

 合唱祭時の文連会長、中村幸代さん(76)は「遠賀川流域から人が集まって讃歌が高らかに歌われ、感激した。市民が作った歌だからこそ価値があり、誇りに思う。いつでもいつまでも歌われてほしい」と願う。

 7月末、ユメニティのおがた(直方市山部)などを候補地にし、詞と五線譜の一部を刻み込んだ歌碑建立を念頭に実行委員会を設立し、中村さんが代表に就いた。上野山さん、夏秋さんも参加。文連の協力を求めて、資金づくりや歌碑の設計など、建立に向けて計画を具体化していく。

 筑フィル団長の城丸幸弘さん(55)が歌碑に共鳴し、活動に協力する。「私も子どものころからなじんできた山。過去の合唱では、歌っている人々の表情から『福智山讃歌は自分たちの歌』との強い思いが伝わってきた。地域の楽団として『ふるさとの歌』を大切にすることは責務で、聴く人を増やしていきたい」

 合唱時間は全8章で約26分に及ぶ。夏秋さんは「詞が自分の中に入り込み、曲が出来上がった」と言う。その創作時の詞への共感を地域の未来の人々につなぐため、「子どもたちに歌ってほしい。序章だけでも親しんで」とも願い、今回の歌碑建立に向け、序章を歌いやすいように作り直した。それぞれの思いが建立への原動力だ。 (安部裕視)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ