見上げれば、いろんな星がある…

西日本新聞 オピニオン面

 見上げれば、いろんな星がある。まばゆい光を放ちながら天翔(あまかけ)る新星には、誰もが目を奪われる。今、最も輝いている新星といえば、間違いなく将棋の藤井聡太さんだ

▼福岡市で開かれた王位戦第4局で木村一基王位を破り、棋聖に続いて王位のタイトルも獲得した。同時に八段にも昇段。18歳1カ月の二冠と八段は史上最年少だ。この先、どこまで記録を増やすのか。八大タイトル全制覇もいずれ、と思わせる空恐ろしい若き才能だ

▼おじさんには控えめな星も気になる。「中年の星」。敗れた木村さんである。47歳。7度タイトルに挑戦し、昨年、46歳3カ月で王位の座に。こちらは最年長記録だ。悲願のタイトルを手にした時の男泣きに、ジーンときたご同輩も多かろう

▼第4局の前半、藤井伝説となりそうな一手が。攻めの要である飛車を捨て相手の銀を取った。従来の将棋の常識なら考えにくいが、人工知能(AI)なら「最善手」という解説を聞いて納得した。将棋の世界にもAIを使った戦略の研究など進化の波。その旗手が藤井さんだ

▼木村さんに肩入れしたくなる理由もふに落ちた。ITだ、オンラインだ、と新しい技術を後輩たちが使いこなす職場で、ちょっと肩身が狭いおじさんなれば

▼「まだまだ実力を高めて上を目指す」と言う藤井さんに拍手。「また一からやり直す」とくじけない苦労人の木村さんに、もっと大きな拍手を送りたい。

PR

春秋(オピニオン) アクセスランキング

PR

注目のテーマ