「このまま終われん」人吉の情報誌再開 復興の歩み伝え続ける

西日本新聞 社会面 中村 太郎

豪雨で休刊「どぅぎゃん」

 7月の豪雨で甚大な被害を受けた熊本県人吉市を拠点に、20年にわたり愛読されている月刊情報誌「どぅぎゃん」が、災害による休刊を乗り越えて発行再開にこぎ着けた。多くのスポンサーの被災で8月号は休刊。今後はまだ見通せないが、スタッフは「地元誌だからこそ、復興の歩みを伝え続けたい」と意気込む。

 どぅぎゃんはデザイン会社経営の有地永遠子(とわこ)さん(59)が2000年に創刊。グルメや歴史、話題の人物など豊富な地元の話題が評判で、約5千部を発行してきた。

 災害で関係者も犠牲になった。音楽コーナーにコラムを寄稿していた愛甲誓史(ちかふみ)さん=同県球磨村、当時(52)。音楽好きだった愛甲さんは邦楽から洋楽までさまざまな年代を幅広く紹介してくれた。

 7月4日の豪雨で編集部は床下浸水し、通信システムが数日間遮断された。取材した店の多くが被災したため、創刊以来初めて休刊せざるを得なくなった。それでも「地元の役に立てれば」と被災した翌日から、支援物資の配送拠点として事務所を地域に開放した。

 スポンサーが集まるか分からず収支の見通しが立たない中、編集長の有地さんは「地元誌として、今回の災害を記録に残さないといけない」と決意。他の編集者2人と手分けして地域を回り、変わり果てた姿を追った。

 8月20日に発売された最新号の特集は「豪雨」。被災直後の写真や被災者の証言で構成した特集の前半は、泥で覆われた街、ひっくり返った車、流失した鉄橋などが並ぶ。続くページでは、復旧に向けて片付けに汗を流す住民やボランティアの奮闘を紹介。終盤は「人吉球磨このままじゃ終われんばい!」と題し、営業を再開した地元商店や飲食店関係者の笑顔で誌面を彩った。経営を続けるか迷っている商店主たちの背中を後押ししたい、との思いを込めたという。

 8月号に載るはずだった愛甲さんのコラムを掲載。担当編集者の追悼文も添えた。有地さんは「大切な仲間を失った悲しみは簡単に癒えないし、街明かりが消えた人吉でいつまで発行を続けられるのか、不安はある」と打ち明ける。それでも、明るい話題も少しずつ増えているといい、「毎号『これが最後』という気持ちで、人吉球磨の今を伝えていきたい」。そう思いを新たにしている。 (中村太郎)

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