「日本の常識は世界の非常識?」防護服姿の中国人乗客 水際対策、日中に温度差

西日本新聞 坂本 信博

新型コロナ・中国隔離ルポ①

 新型コロナウイルス禍で続いている出入国制限が徐々に解除され、まずはビジネス関係者から中国や韓国、台湾などとの往来が緩和され始めた。多くの国・地域で入国後の検査や一定期間の隔離が必要とされており「具体的な流れが知りたい」という調査依頼が、あなたの特命取材班に寄せられた。新任の中国総局長として北京に赴任する前に、到着地の遼寧省大連市で2週間の隔離生活を送った本紙記者が、5回にわたって実体験をルポする。

 日本から中国へ向かう航空便は現在、各社週1~2便に制限されており「11月まで満席。8月中は1便当たり200人がキャンセル待ち」という航空会社もある。運よくキャンセルが出た11日の成田発大連行きで中国に入った。

 「日本の空の玄関」成田空港は、お盆の時期とは思えないほど閑散。免税店も軒並み休業している。世界と往来する航空便の電光掲示板の表示は、ほとんどが「欠航」だった。

 入管当局の職員や航空会社スタッフ、乗客も全員マスクをしている以外、搭乗や出国の手続きはほぼ普段通りだった。ただ「中国当局の指示が出ています」と、健康状態や最近の渡航歴を申告するスマートフォンアプリへの入力を求められた。スマホがない場合は、紙で提出する必要があるという。

 福岡-成田の国内線の機内や、成田空港の国際線待合室はソーシャルディスタンス(社会的距離)で1席ずつ空席が設けられた。しかし、大連行きの機内は乗客同士がすぐ隣り合わせに座る。「大丈夫なのかな」と思っていると「機内の空気は手術室にも使用されている高性能フィルターでろ過されています」という機内放送が流れた。

 乗客の大半は中国人で、多くが白い防護服姿や雨具を着ている。記者も含め日本人は普段着で、空港でも中国人客の姿は目立った。

 温かい機内食の提供はなく、ハンバーガー、スナック菓子、お茶が入ったランチボックスが配られただけ。酒類を含むドリンクサービスと機内販売は従来通りで、日常と非日常が入り交じる不思議な感覚だ。

 福岡-札幌の飛行時間とほぼ同じ2時間半で大連空港に到着。日中の近さをかみしめていると、白い防護服姿の人々が乗り込んできた。抜き打ちで乗客の体温を測定したり、乗客全員がマスクを着用しているかを確認したり…。緊張したが特にトラブルはなく、その後、一斉に降機した。

 大連空港では中国人乗客だけでなく、中国当局の職員も航空会社スタッフも全員が白い防護服姿。過去に取材した宮崎の鳥インフルエンザ、福島の原発事故被災地の記憶がよみがえる。中国の人々の目には、普段着の日本人客が異様に映っただろう。成田とは明らかに異なる光景。「日本の常識は世界の非常識」。昨年死去した評論家竹村健一氏の警句が、ふと心に浮かぶ。

(大連・坂本信博)

大連行きの飛行機への搭乗を待つ人々。中国人搭乗客には白い防護服姿や雨具を着た人が目立った=11日、成田空港国際線ターミナル

【ワードBOX】中国の入国制限措置

 中国政府は新型コロナウイルス感染症の水際対策として、外国から首都・北京への直行便乗り入れを停止している。日中間の直行便は、日本航空や全日空、中国国際航空などが成田や関西と大連、上海浦東、南京、西安などを結ぶ路線を各週1~2便だけ運航。到着後のPCR検査やホテルでの14日間の隔離を義務付けている。在日中国大使館によると、日本からの渡航予定者に搭乗前5日以内のPCR検査陰性証明の提示も求める方向で調整中という。中国国内では、大連などから入国した人に現地でさらに14日間の隔離を求める地域もある。

PR

国際 アクセスランキング

PR

注目のテーマ