隠れた被害 仮設設置見通し立たず 半壊家屋1000件超の大牟田市 (2ページ目)

西日本新聞 総合面 大坪 拓也

代替住宅は入居期間短く

 市は同月中旬から、被災者が公的支援を受けるのに必要な「罹災(りさい)証明書」を出すため家屋被害調査を実施したが、初めて半壊件数を把握したのは2週間以上たった8月2日。同日時点で約600件に上っており、さらに20日現在では全壊11件、大規模半壊1件、半壊1217件と「想定以上」(市税務課)に膨らんだ。内水氾濫時の調査は、柱や床などの損傷を基にしており、被害判定に時間を要したという。

 自宅を追われた人のため、市は公営住宅のほか、みなし仮設とは関係なく借り上げた住宅などを確保。23日現在、計163世帯333人が滞在する。親戚宅などへの避難者も含むと、仮住まいの人はさらに増える。大規模半壊に近い家屋も多く、修理できずに自宅を放棄せざるを得ない被災者が今後相次ぐ懸念もある。

 市内の女性(72)の木造住宅は内壁が崩れるなどして半壊。多額の費用がかかる修理を諦め、解体することにした。現在は親戚宅に身を寄せるが、「みなし仮設があるのなら住みたい」と話す。

 市は「独自に確保した住宅で対応できている」とするが、公営住宅などの無償期間は原則6カ月、最大でも1年間。原則2年間の仮設住宅の方が被災者には支えになる。みなし仮設は今からでも導入可能だが、市は「ニーズがあるかの調査を検討する」段階という。

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 一方、同じく豪雨が襲った熊本県の対応は異なる。河川氾濫など「外水氾濫」の被害が甚大で、家屋が全半壊して住めない被災者が相当数に上ることが、被災直後から予見できた。

 県はただちに、みなし仮設500戸と建設型千戸分の予算を確保。県内の被災市町村は7月17日、仮設住宅の入居相談窓口を設けた。大牟田市に比べ初動の早さは歴然。同市と、熊本県の市町村とで被災者の住まいに対する行政支援に格差が生まれている状況だ。

 仮設住宅に関し、同市と調整を担う福岡県福祉総務課は「半壊以上が一定数ある見込みもなく設置を決断するのは難しい。国は内水氾濫時に設置を判断しやすいよう基準を示してほしい」と訴える。 (大坪拓也)

支援格差なくせ

 室崎益輝・兵庫県立大大学院教授(防災計画)の話 氾濫の形態で支援格差を生んではいけない。災害救助法を踏まえ、行政は仮設住宅など多様な支援を早急に示し、提供する義務がある。今回の場合は大牟田市の被害把握が甘く、国の指導が曖昧なことも原因だろう。市や福岡県はすぐにニーズを把握して仮設住宅を設置し、国も促すべきだ。

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