二重三重の問診…「ここまでやるか」中国入国、大連空港の厳戒と緩さ

西日本新聞 夕刊 坂本 信博

新型コロナ・中国隔離ルポ②

 「健康申報区(健康宣言エリア)」。大連空港で飛行機を降りてすぐの通路の頭上に、その5文字が大きく掲示されていた。

 「お互いの間隔を空けて並んでください」。足形マークの上に立って行列を作ると、日本からの搭乗客一人一人の腕に整理番号を書いたシールを貼られた。20カ所ほどあるブースに順番に案内され、問診を受ける。日本語で対応可能なブースもあった。

 問診の流れはこうだ。各ブースのテーブルに着くと、搭乗前に入力した健康管理アプリに表示されるQRコードを機械で読み取る。氏名などを確認された上で、渡航歴や健康状態を聞かれた。「14日以内で解熱剤、風邪薬、せき止め薬などを使用したことがあります。Aはい Bいいえ」…。日本語で書いてある質問の指さし会話が中心で、スタッフの対応は丁寧だった。

 その後、健康診断室に誘導され、PCR検査を受けた。「鼻だけ出るようにマスクを下げて、顔を天井に向けて」。右の鼻の奥に細い綿棒を差し込まれ、30秒ほどグリグリと回される。脳の中をえぐられるような激痛で涙がにじむ。次は「口を大きく開けて『アー』と声を出して」と指示され、綿棒で喉の奥をグリグリ。痛みに耐えた。

 検査官は全員、白い防護服にフェースシールド姿。検査が終わるたびに机や室内に消毒液を散布するなど防疫を徹底していた。

 それからようやく入国審査。日本の出国時、入管当局の審査官は制服姿だったが、中国では審査官も防護服姿だ。ここまでで、降機から約1時間。手荷物受取所に行くと、たくさんのスーツケースが持ち主を待ちわびるように並べられていた。どれもなぜか表面がびっしょりぬれている。消毒液を噴霧されたようだ。

 二重三重の問診、情報管理、感染予防…。「ここまでやるか」。この言葉をこの日、何度もつぶやいた。

 最後は税関検査。実は記者にとって最大の関門だった。中国共産党や習近平国家主席に関する「政治的書籍」は没収されると聞いていたからだ。「禁書」は持ち込んでいないが、特派員業務に必要な資料まで没収されては困る。が、ゆうに終わった。防疫に総力を挙げているせいか、スーツケースの中身はノーチェック。厳戒と緩さが同居する中国らしさにあんし、PCR検査の痛みを忘れた。(大連・坂本信博)

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