「8・25の記憶」若者にこそ 飲酒事故 目立つ30歳未満 VR体験で啓発

西日本新聞 社会面 山口 新太郎

 事故の記憶、継承の薄れに危機感 

 福岡市東区の海の中道大橋で3児が犠牲になった14年前の事故をきっかけに、飲酒運転は全国的に大きく減少した。ただ、若者の飲酒運転事故は福岡県内で増加傾向にある。昨年1月~今年6月に飲酒運転事故で亡くなった計12人のうち半数が20代で、酒を飲んで自らハンドルを握っていた。県警は「事故の記憶、継承が薄れているのではないか」との危機感から、若者への啓発を強化している。

 25日夕、福岡市東区のJR千早駅で福岡東署が開いた啓発イベント「風化させない8・25」。新型コロナウイルス感染症対策でマスクやフェースシールド姿の署員らが、通行人たちにチラシを配り飲酒運転撲滅を呼び掛けた。通りがかった同区の男子大学生(19)は3児死亡事故を知らなかった。「学校で教えてもらったり、周囲と話したりする機会がなくて…」

 事故を起こしたのは、福岡市職員だった今林大(ふとし)受刑者(36)=危険運転致死傷罪などで懲役20年確定。一家5人が乗るRVに乗用車で追突、RVは海に転落し長男=当時(4)、次男=同(3)、長女=同(1)=が亡くなった。今林受刑者は事故当時22歳だった。

 事故を契機に飲酒運転は社会問題化。厳罰化も進み、飲酒運転事故は3児死亡事故が起きた前年の2005年に全国で1万3878件だったが、昨年は3047件に減少した。福岡県でも829件から133件に減った。一方、30歳未満による県内の飲酒事故は、昨年は34件に上り2年連続で増え13年の18件から約2倍に。事故全体に占める割合も昨年は25・6%で、過去10年で最も高くなった。

 県警は今年6月から、飲酒運転で摘発した人に対し、3児死亡事故や、同県粕屋町で男子高校生2人が亡くなった11年の飲酒運転事故を知っているか聞き取りを始めた。世代間での認知度の差異などを調べ、対策に生かす考えだ。

 昨年からは飲酒運転を仮想現実(VR)で疑似体験できる機器を使い、若者に飲酒による視界のぐらつきを体感してもらう取り組みも始めた。警察官が高校や大学などに出向き、6月末までに337回実施した。

 ただ、新型コロナの影響で今春以降は、体験会をほとんど開催できていない。コロナ禍でも飲酒運転の怖さを知ってもらおうと、県警は25日、スマートフォンなどでVRを体験できる特設サイトの公開を始めた。県警幹部は「若者に関心を持ってもらえる工夫をしながら、飲酒運転の危険性を伝えていきたい」と話している。 (山口新太郎)

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