大連、隔離宿舎への”ミステリーツアー” 「警察が24時間監視する」

西日本新聞 夕刊 坂本 信博

新型コロナ・中国隔離ルポ③

 新型コロナウイルス感染対策の14日間におよぶ隔離生活。最初にして最大の関心事は、果たしてどこに連れて行かれるかということだった。隔離先は非公開で、問い合わせても教えてもらえなかったからだ。

 入国審査が終わると、大連空港内にある窓口に誘導され、まず国籍を尋ねられた。言葉の問題もあり、日本人同士を固めたいそうだ。日本語が話せる当局の職員が説明してくれた。

 家族連れでも大人は別室が原則。ただ、日本政府の在外公館を通じて事前に相談しておけば、互いの部屋を行き来できるコネクティングルームの確保など配慮をしてもらえたという。

 連絡先などの登録手続きが済むと名前を呼ばれ、バスに案内された。座席と運転席の間にはビニールの幕が張り巡らされている。外気温29度。車内は熱気がこもっていたが、感染予防で空調は使えず窓も開けてはいけないという。まさに蒸し風呂状態だった。

 水際対策の徹底ぶりに、同じバスに乗り合わせた60代の日本人男性がつぶやいた。「日本政府の対策は大丈夫なんでしょうか。危ないエリアから安全なエリアに来た気さえします」

 バスに乗った後も行き先は教えてもらえず、まるでミステリーツアー。約30分後、海辺のリゾートホテルで停車した。「外の空気が思いっきり吸えるのは今だけですね」と乗客同士で声を掛け合い、深呼吸した。

 ホテルに入る前に、防護服姿の医療スタッフから体温計を渡され、中国の通信アプリ「ウェイシン(ウィーチャット)」のグループチャットへの登録を指示された。

 隔離対象者が全員登録し、朝と午後に1日2回、検温結果を報告しなければならないほか、諸連絡はすべてグループチャットでするという。問答無用で、全員がスマートフォンを持っている前提。中国のスマホ普及率の高さを実感した。

 その後、フロントで14日泊分の宿泊費と食事代として7千元(約10万7千円)を現金か現地のスマホ決済かクレジットカードで一括払いするよう求められた。1泊500元(約7600円)という計算になる。

 部屋に向かおうとすると、フロントスタッフから声を掛けられた。「指示があるまで部屋から外に出ないで。警察が24時間監視しています。見つけたら隔離を延長します」。人生初の軟禁生活の始まりだった。(大連・坂本信博)

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