祭り中止で出荷9割減…金魚養漁業者が悲鳴

西日本新聞 熊本版 宮上 良二

 新型コロナウイルスの感染拡大で祭りやイベントの中止が相次ぎ、国内有数の金魚の産地、熊本県長洲町の養魚業者が苦境に立たされている。大きな収入源である金魚すくい用の出荷が激減しているからだ。一方で、餌代などの経費が重くのしかかり、業者からは先行きが見えない現状に悲鳴が上がる。町も伝統産業を守ろうと、あの手この手の支援策に乗り出している。

 町養魚組合の松井一也組合長(73)によると、組合員14人の出荷額のうち、祭りやイベントの金魚すくい用は7割を占める。ところが、金魚をPRする地元の「火の国長洲金魚まつり」をはじめ、九州各地の夏祭りや秋祭り、イベントの中止や規模縮小が次々に決まり、出荷量は9割以上減少。観賞用の金魚も、新型コロナによる県境をまたぐ移動自粛などで買い付け客が大幅に減ったという。

 養魚歴54年の松井組合長は「収入が激減しても餌代や電気代、水管理の労力は普段と一緒。これほどの厳しさは経験したことがない」と危機感を訴える。

 同町の金魚生産はもともと、少子化による金魚すくいの需要減などで減少傾向が続いており、2000年代初めに約150万匹だった年間生産量は、現在はほぼ半減。50年前に約60人いた組合員も減少の一途で、高齢化も進んでいる。

 この状況に新型コロナのダメージが重なり、廃業を心配した町は、今月から「長洲金魚PR応援事業」をスタート。町が金魚すくい用と観賞用の金魚を業者から買い取り、県内の自治体や保育・幼稚園、小中高校などに道具や容器とともに無償で提供するという。「業者の経済的苦境を軽減し、新しい販路開拓にもつなげたい」と町農林水産課。また、組合員の設備投資に対する補助金制度も新設した。

 松井組合長は「町の支援をてこに、長年の課題だった後継者の育成や技術の継承にも取り組みたい」と話している。 (宮上良二)

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