かんぽ「おわび行脚」で再開 日本郵政が営業自粛解除 昨年7月以来 (2ページ目)

西日本新聞 一面 宮崎 拓朗

不正体質改善再生の一歩

 かんぽ生命保険の不正販売問題を引き起こした日本郵政グループが、昨年7月から続く営業自粛の解除を表明した。通常営業の再開に向けた第一歩といえるが、本年度中は積極的な営業は行わず「おわび活動」を続けるという。一連の問題では不正が疑われる契約が約40万件に上り、不正の調査も道半ばだ。郵政グループは組織の立て直しを急ぐが、失った信頼を取り戻すのは容易ではない。

 認知症の高齢者に不必要な保険を契約させる、「相続税対策になる」などの虚偽説明で契約を結ぶ-。

 郵便局の保険営業の現場では、全国的に同じような不正販売の手口がまん延していた。背景には会社側が設定した過大なノルマがあり、上司から追い詰められた現場の局員たちが次々と不正に手を染めていく構図が共通していた。

 不正に関与した局員の懲戒処分はいまだ4分の1程度しか終わっておらず、全員の処分が終わるまでに年内いっぱいかかる見通しだ。局員を内部処分だけにとどめる郵政グループに対し、取材に応じた顧客からは「局員が逮捕されないのはおかしい」といった厳しい声が今も届く。

 一方、今年6月には保険営業を担当する社員が、新型コロナの影響で収入が減った個人事業主を対象にした「持続化給付金」を不正に申請していたことが発覚。申請者は判明しただけで140人に上る。現場のコンプライアンス(法令順守)意識は低いままだ。

 グループのビジネスモデルも危うい。かんぽの保険商品は、民業圧迫を避けるために規制がかけられ、他社よりも魅力が劣っている。これまでは強引な営業によって収益を上げていただけに、適正な販売を徹底すれば、契約件数が減ることは避けられないだろう。

 前経営陣が引責辞任したことに伴い、今年1月に就任した日本郵政の増田寛也社長は「グループ全社にとって創立以来最大の危機」と繰り返し、本紙などが指摘した問題点にも一つ一つ真摯(しんし)に向き合う姿勢を見せてきた。

 増田氏はこの日の記者会見でも「お客さまの怒りや苦しみに思いをはせることが一番の原点だ」と語った。今後、企業体質をどう改善し、どのようなビジネスモデルに転換していくのか。こうした課題から目を背ければ、同じ轍(てつ)を踏むことになりかねない。 (宮崎拓朗)

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