床は「水漏れか」と思うほどの消毒液 大連のホテル隔離生活始まる

西日本新聞 夕刊 坂本 信博

新型コロナ・中国隔離ルポ④

 新型コロナウイルス感染症対策で、隔離先の大連のホテルに入って驚いた。

 建物の入り口には「汚染区」という張り紙があり、大理石の廊下は足を滑らせそうになるほど消毒液でぬれていた。エレベーターにはボタンを押すための使い捨てティッシュが備え付けられている。同じ「水際」でも、日本を出発する前日に泊まった成田空港近くのホテルとの違いを感じた。

 部屋の中も同じだった。水漏れかと思うほど消毒液で床が光っており、完全に乾くまで3日かかった。

 部屋に入ると、500ミリリットル入りペットボトルの水が24本、虫よけ、2セット分のタオル類が配られていた。隔離期間中は自身の衣類はもちろん、タオルも自分で洗わねばならない。洗剤や物干しロープを持参すればよかったと後悔した。

 各室に配られているゴミ袋には「医療廃物包装袋」「警告!感染性廃物」という印字があった。現時点では自分も含めた入所者が、中国の人々にとって「危険な存在」なのだという事実を再認識した。

 隔離期間中は、通信アプリ「ウェイシン(ウィーチャット)」のグループチャットに朝夕の1日2回、各自が体温計の表示を接写した画像を投稿する仕組み。報告が遅れた人がいると「時間通りに体温報告をお願いします。そうでないと隔離期間を延長します」という警告が流れることもあった。

 初日の夕方、部屋のチャイムが鳴り、ドアをノックする音がした。フロントで「すぐに開けないで」と言われていた。しばらくしてドアを開けると、そばの荷台に弁当が届けられていた。廊下の向こうに、消毒液で滑りそうな床の上でワゴンを押して弁当を配る従業員の背中が見えた。

 エッセンシャルワーカーに感謝しつつ食べた弁当は、レンコンと豚肉の炒め、湯葉とセロリの炒め、ゆで落花生と青菜の炒めなど。野菜が多く、中国料理のイメージが変わった。朝食はおかゆが中心で、肉まんや花巻き、果物が付いていた。

 グループチャットで追加の料理や飲み物、スナック菓子などの配達も頼める。フロントのスタッフが翻訳アプリを使った片言の日本語でいつもすぐに返信してくれ、対応も早い。

 孤独な14日間の軟禁生活。ただ、感染リスクがある中でしんに仕事に向き合う現地の人々の存在を感じることが幾度もあった。(大連で坂本信博)

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