「お仕事がうまくいきますように」隔離終了、中国人スタッフに好感

西日本新聞 夕刊 坂本 信博

新型コロナ・中国隔離ルポ⑤

 大連のホテルでの隔離期間中、誰にも会えないと思っていたが、違った。「抗体検査をします。費用を徴収します」という連絡が通信アプリ「ウェイシン(ウィーチャット)」のグループチャットで配信され、防護服姿の女性2人が集金に来た。

 隔離4日目の朝8時。立ち入り禁止のロープで囲まれたホテルの庭で、検査はあった。久しぶりの屋外。夏の日差しがまぶしく、空の青さが目に痛い。グループチャットでしかやりとりできない日本人入所者が、マスク越しではあるが顔を合わせた。採血の順番を待ちながら会話が弾む。

 最高気温30度。この日の検査対象58人は半袖に短パンなど涼しげな格好が多いが、医療スタッフ2人は白い防護服にゴーグル姿。ビニール手袋に汗がにじんでいた。約1時間半、ひたすら採血をする彼らに頭が下がる。女性の看護師は、小さい子どもを連れた入所者に声を掛けたり、注射で泣き叫ぶ幼児をあやしたり。国や政治体制は違っても、人の温かさは変わらない。

 隔離11日目には、入国以来2度目のPCR検査を受けた。ちなみに検査費は、抗体検査が142元(約2200円)、PCR検査は95元(約1500円)。それぞれの検査結果用紙が隔離解除までに配られ、記者はいずれも陰性だった。

 そして入所から15日目の朝。医療スタッフから「今日で隔離を解除します。この14日間の親切な対応ありがとうございます。お仕事がうまくいきますように」「全員が皆さんの隔離解除を喜んでいます」というメッセージが届いた。フロントで中国国内の移動に必要な隔離解除証明書を渡された。なんだか、卒業証書をもらう気分だった。

 隔離生活中、中国関連の本を読んだり、中国語を勉強したり、原稿を書いたり。気候や食生活、通信環境への慣れなど、中国での仕事や暮らしに軟着陸するために有益な日々となった。隔離される地域や施設にもよると思うが、私の場合、スタッフの対応が良かったおかげで中国人への印象が良い方向に振れた。

 日本で隔離生活を送る訪日外国人への当局やホテルの対応はどうだろうか。コロナ禍さえなければ今夏、東京五輪・パラリンピックで沸く列島で「おもてなし」の心が広がるはずだった。入国後の14日間で日本のファンになる外国人が増えるよう願う。(大連で坂本信博)

=おわり

PR

国際 アクセスランキング

PR

注目のテーマ