捕らえたシカの皮でグッズ加工 新宮町でわな猟に取り組む協力隊員

西日本新聞 ふくおか都市圏版 今井 知可子

「里山の環境整えたい」

 福岡県新宮町の地域おこし協力隊員で、シカなどのわな猟に取り組む小島(おしま)慎太郎さん(29)が、シカ皮を使ったグッズ販売を始めた。里山のバランスが崩れて害獣としてのシカやイノシシが増えていると感じる小島さんは、開発の行き過ぎで起きる問題を「整えたい」との願いを込めて、「totonoi(ととのい)」という名前の会社を設立。「グッズを手に取ることで、いま山で起きている問題を知ってほしい」と話す。

 小島さんは学生時代に「INTO THE WILD」(2007年)という映画に感銘を受けた。アラスカの大自然を目指してヒッチハイクを続けた若者のストーリー。「このまま就職するんだろうか」とぼんやり考えていた頃で、強く心に残った。

 東京でIT企業に就職したものの「自然と向き合う暮らしをしたい」という思いを強くし、17年に地域おこし協力隊員として新宮町に移住した。元々、狩猟免許を持っていたが、猟を始めたのは移住後。農作物を荒らす害獣対策を任され、先輩猟師について山を歩いた。くくりわな猟で自分の手でとどめを刺してきた。

 捕獲したシカ肉は食べるが、皮は捨てていた。だが県内では年間約1万頭のシカが捕獲されている。「皮を有効活用しながら、持続可能な里山の再生について発信しよう」と起業した。

 県内のシカ肉加工施設に皮を保管してもらい、1枚千円で買い取る。兵庫県の皮革会社でなめし革に加工。大阪の工場で縫製し、カードケースや財布に仕上げた。ブランド名は「YAMABITO(やまびと)」とした。ウェブストアで今月から発売を開始。デザインを見て、狩猟者たちも「いいねえ」と賛同してくれた。

 なめした革の表面には傷や虫食いの跡も残る。一頭一頭のシカの生がそこに見える。「皮の有効活用だけでなく、狩猟者の所得と誇りにつなげたい。シカが害獣と呼ばれず、純粋な狩猟対象として循環していく里山を整えられたら」と未来を描く。

(今井知可子)

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