紙芝居「筑豊一代」を上演 炭鉱哀史に聞き入る、田川市立図書館

西日本新聞 筑豊版 吉川 文敬

 筑豊地方の炭坑絵師、山本作兵衛(1892~1984)が描いた紙芝居「筑豊一代」の上演会が30日、福岡県田川市の市立図書館であり、44人が地元の炭鉱哀史に聞き入った。

 紙芝居「筑豊一代」は今年、飯塚市で発見された。幼い頃に両親に捨てられた筑豊育ちの主人公下田伝吉が、炭鉱を転々とする中で、妻や長男を炭鉱事故が原因で失うなど厳しい現実に直面していく人生が描かれており、紙芝居を見て、時折目頭を押さえる人もいた。

 紙芝居は半世紀前、元炭鉱労働者の記念碑建立のために製作された。戦後のエネルギー革命後、顧みられなくなった元炭鉱労働者たちの自尊心と人間性を取り戻そうと立ち上がったのは、元炭鉱労働者で牧師の服部団次郎氏(故人)だった。服部氏は1970年、建設運動を開始する。

 服部氏は資金捻出のため、愛読書だった小説「筑豊一代」を紙芝居に改作し、上演することを着想。著者の王塚跣(せん)氏の許可を得て、作兵衛に作画を依頼し、快諾された。服部氏と仲間たちは、炭鉱住宅などに通い計260回上演。82年、宮若市の千石公園に「炭鉱犠牲者 復権の塔」を完成させた。

 30日、服部氏の次男信和さん(69)=飯塚市=が紙芝居を上演。溝口ナホ子さん(93)=田川市=は「炭鉱会社直営病院の看護婦だったので、事故で後遺症の残るけがをする人を多く見た。大変な時代だったことを思い出した」と述懐した。信和さんは「作兵衛さんや父の思いを多くの方に知ってもらうため、今後も紙芝居を続ける」と話した。

 紙芝居の上演は隣接する田川市美術館で開催している原画20点を展示する特別展の関連イベント。特別展は9月22日まで。大人100円、高大生50円、小中学生30円。市美術館=0947(42)6161。 (吉川文敬)

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