被災地「取り残される」不安も…次期首相 被災地復興に力尽くして

 7年8カ月の長期に及んだ第2次安倍政権。この間、九州では2016年の熊本地震、17年の九州豪雨、今年の局地的豪雨など自然災害が相次いだ。被災地からは国の支援のスピード感を一定評価する声がある一方、時間の経過とともに「取り残されるのではないか」との不安も聞かれる。

 7月に九州や岐阜、長野県など列島各地を襲った豪雨。熊本県で大きな被害が出た6日後に政府は激甚災害への指定を決め、その3日後、安倍晋三首相は現地を訪れた。自宅が全壊し、今も避難所から1時間かけて片付けに通う球磨村の淋(そそぎ)善博さん(71)は「すぐに首相が視察に来てくれた」と感謝する。

 「初動」に重きを置く姿勢は4年前の地震でも同じだった。首相は発生の9日後に被災地に入った。通信網の寸断で被災状況の把握は地元自治体ですら容易ではない中、現地の要請を待たずに水や食料などを送る「プッシュ型」支援を初めて本格実施するなど、政府主導で災害対応に当たった。

 だが今、復興途上の被災地で、首相や政府への期待はしぼんでいるように映る。

 被災した益城町の自宅近くを視察する首相の姿を目にした専門学校生の男性(23)。最近では、暮らしている仮設団地で国の職員をあまり見掛けなくなったといい、「辞任表明をネットニュースで見たけど、なんか遠い場所のように感じました」とつぶやいた。

 17年7月の九州豪雨で甚大な被害を受けた福岡県朝倉市では、山間部を中心に河川や砂防などの復旧工事が進む。発生から3年。5人が亡くなった石詰集落では今春、ようやく居住が可能になった。

 「帰還しない」と決めた住民も少なくない。被災地の目に見える「復興」が感じられず、不安を拭えない。「3年たっても、工事の終わりが一向に見えない」と話す集落元区長の小嶋喜治さん(64)。「政治の混乱で、復興が遅れることはあってほしくない。目を向け続けてほしい」と願う。

 再び、熊本県球磨村。道路の寸断で一時孤立した一勝地地区。豪雨の爪痕が深い地区に暮らす女性(67)は「長期政権だからこそ、できることがあったのでは」。被害は「天災」と理解しつつ、毎年のように起きる災害への備えはできなかったのか、と投げ掛ける。

 後継首相を決める自民党総裁選で、一般党員による投票は行われない見通し。党員間には異論もある。球磨村の自宅が水没した党員の東研志さん(84)は言う。「誰が首相になっても被災地の復興に全力を尽くしてくれると信じたい」

 (中村太郎、横山太郎、山本諒、綾部庸介、金沢皓介)

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