勝手な勘違いを防ぐ性教育を【しもじもの話】

 私が少年だった昭和40年代、町中の電柱に日活ロマンポルノのポスターが。子どもは知ることができない大人の世界です。もちろん映画は見られないので、電柱の前を行ったり来たり。ポスターの女性にドキドキしたのを覚えています。

 いまは、誰もがいつでも容易に性の世界をのぞくことができます。漫画やAVでは、無理やり裸にされて体を触られ、恥ずかしがる女性の様子が描かれているものがあります。嫌がったり拒んだりしながらも、最終的な女性たちの答えはYES。“嫌よ嫌よも好きのうち”がまかり通り、肯定されていると思わせる、男性に都合の良い内容です。

 子どもの頃からこうしたものに繰り返し触れることで、女性をただ性的対象物として捉え、嫌がる相手の意思を無視して性行為をするのは普通なのだと男性が学んでしまう-。ジェンダーの専門家はこう問題を指摘しますが、男性の性欲を優先する漫画やAVが減る様子はありません。

 いくら女性が性暴力に遭わないよう注意しても“嫌よ嫌よも好きのうち”と思い込んでいる男性は、「ちょっと待って」「イヤ」と言われても、拒否とは捉えないかもしれません。

 昨年、準強姦(ごうかん)罪に問われた男性に対する裁判で、福岡地裁久留米支部は「(女性が)性交を許容していると誤信してしまうような状況にあった」などとして無罪判決を言い渡しました。福岡高裁がこの判決を破棄、現在も係争中ですが、ビックリです。

 それなら、被害者にならないための防犯教育以上に加害者になるのを防ぐ性教育が必要です。「女の口から言わせるのはやぼっていうもんですよ。お察しください」は昔の話。男は勝手な勘違いを防ぐため、正しい同意について学ばなければなりません。男女が同様の経験・知識を持ち、YES・NOが平等に尊重される中で、自発的選択による決定が性行為の同意です。

 私は性教育で、漫画やAVは実際の男女関係には通用しないこと、NOと言わないからYESではなく、YESと言わなければNO。はっきりYESと言ったときだけがYESであると中高生に伝えています。飲酒時など、判断能力が低下したときの不確かな返事は同意ではありません。勘違いした側の責任です。

 (泌尿器科医・池田稔)

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