官邸官僚“暴走”の先に…突然の退陣劇に早くも水面下で猟官運動

【激震 安倍首相辞任】(下)

 8月31日午前9時40分すぎ、安倍晋三首相は辞任表明後、初めて官邸に出勤。記者団の声掛けに「おはよう」と右手を軽く上げた。吹っ切れたようなさばさばした表情。その後ろには、いつものようにかばんを抱えて随行する首相秘書官が。うつむき加減でエレベーターへ急ぐ背中は、首相とは対照的にどこか寂しげだ。

 ≪官邸官僚≫。第2次安倍政権の象徴となったこの四字熟語は、秘書官や補佐官など首相の手足となる側近たちを指す。出身省庁に戻る道を自ら断ち切り、主人への絶対忠誠を誓った彼ら。内閣人事局が省庁幹部の配置を掌握する仕組みが整ったことも追い風に、「総理のご意向」を具現化する実動部隊として発言権を高めてきた。

 その功罪は相半ばする。

 中核を担う今井尚哉首相補佐官らは「1億総活躍社会」「働き方改革」といった看板スローガンを次々に発案。厚生労働省の尻をたたき、企業に定年延長や残業規制を導入させた。熊本地震や九州豪雨では、警察出身の杉田和博官房副長官らが迅速な「プッシュ型支援」を指揮。首相の強力なリーダーシップと「決められる政治」を演出し、最長政権の原動力となった。

 2016年の参院選や17年の衆院選では、消費税を巡る自民党の選挙戦略にまで深く関わり、「公務員の『範』を超えている」との非難を招く。自然な流れで、省庁側は常に官邸官僚の顔色をうかがうようになり、忖度(そんたく)や異論封じが横行する「行きすぎた官邸主導」が完成した。

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