待機児童ゼロ、忘れてません? 「女性活躍」理想は浸透したけど…

【最長政権 私の採点】人材教育業・本山晴子さん

 「1人、2人…」。テレビに映る政府の会合や審議会を見て、女性の参加者を数える。新たに企業が上場したと聞けば、ホームページで役員名簿をチェックして、割合を調べる。

 「全ての女性が活躍できる社会をつくる」。2014年1月、安倍晋三首相が施政方針演説で宣言して6年半。企業研修などを行う会社を経営する本山晴子さん(49)=北九州市=は、いわば「女性割合ウオッチャー」として動向を注視してきた。「以前よりは増えましたね。社会の意識が変わり、女性活躍を声高に訴えた成果だと思う」

 政府が掲げた、女性活躍の目標は「20年までに指導的地位に占める女性の割合を30%」。議員や企業の管理職らを想定した。女性活躍担当相を据え、女性活躍推進法で雇用や昇進への取り組みを求めた。

 「子育て中は働き方が限定されても、働き続けてもらえば会社にプラスですよ」。本山さんが中小企業の経営者向けのセミナーなどでこう話すと、年配の男性経営者が真剣にうなずく。

 「イクメン」という言葉が定着し、安倍政権は男性の育児参加も促した。「週2日しか働けない」「夜は夕食作りで早く帰らないと」-。本山さんに寄せられる女性の声には、家事から逃れられない現実が浮かぶ。19年度の女性管理職の割合は11・9%と低く、政府は目標達成を先送り。「看板は輝いたけど、大事な実効性は企業任せでいまいち」

 おじさんたちが主人公の永田町を中心にした政治は「旧態依然」としたまま。18年に選挙で男女の候補をできる限り均等にすることを目指す政治版「男女共同参画推進法」が成立したものの、初の参院選で自民党の女性候補の割合は15%。地方では女性議員がゼロの議会が2割近くある。「政党の本気度は疑問ですよね。本当に増やそうと思っているの?」

 韓国や台湾などは強制力がある制度を導入する一方、日本は努力義務で罰則もない。「本気で変えようと思うのなら、議員も企業の管理職も強制力を持たせないとね」ときっぱり。

 「この6年、女性の就業者数は新たに290万人増加しました」。安倍首相は今年1月の施政方針演説で胸を張った。現実を見れば、女性雇用者の56%(19年)は非正規で賃金水準は男性の7割程度だ。

 2人の子どもの母親でもある本山さん。車でしか通えない距離の保育園に入らざるを得ず、引っ越した経験がある。政府は13年、「17年度末までに待機児童ゼロ」を掲げ、保育の受け皿を拡充。働く女性が増えて整備が追いつかず、17年に目標を3年先送りした。

 19年4月時点で、全国に約1万7千人もいる待機児童。「この問題を解消しないまま訴える女性活躍は、無責任」と実感がこもる。ゼロの期限を迎える今年、不思議なくらい首相の発信がない。「ゼロになるまで政府は責任を持つべきだ。忘れてるってことはないですよね」

 ちなみに、世界経済フォーラムの男女格差報告によると、昨年、日本の女性の社会進出は153カ国のうち過去最低の121位。

(斉藤幸奈、竹中謙輔)

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